第23話 中華料理のメインとご飯もの、そしてデザート

 私は辛い食べ物は得意、そしてお義姉様も辛い食べ物に慣れていた。


「水火さんは辛いのはお好き?」


「私は好きですよ」


「私もよ」


 意見があってホイコーローを口に運ぶ。中華のメインは辛いものであると定番。油も多く使われており油っこくお腹を壊しそう。もしくは太ってしまいそう。


 とはいえダイエットは欠かしていない。それは私もお義姉様もだ。


 赤沢家の人間たるもの、体も美しくなければいけない。だからこそ日々の屋敷で出来るダイエット運動は欠かさない。それは痩せていてもだ。


 私も青葉と一緒に1時間はダイエット運動を行っているほど。そういう時間もあるのだ。


 中華料理はカロリーが高い分仕方ないが赤沢家の人間としては高級料理なら食べないわけにはいかない。


 ちなみに辛さは一般のカレーライスの中辛くらい。小学生には辛すぎるかもしれないが中学生くらいなら普通に食べることが出来るからさ。


 そのため、私でも辛さを気にせず完食出来た。


 お義姉様は初めて食べた高級のホイコーローの感想を聞いてくる。


「どうだったかしら?」


「辛かったです。ですが思った辛さではありませんでした」


「それはどういうこと?」


「辛すぎて食べきれないほどだと思っていました。ですが丁度良い辛さでおいしかったです」


「そう、本場の中国で振舞っている料理人もこれくらいの辛さで作っているって話だけど?」


「そうなんですか。勉強になります」


 世界史は習っていないため世界の事は分からないが中国のことをお義姉様から知ることが出来て良かった。これは令嬢として赤沢家のために力を尽くすためのいい勉強になる。


 なぜなら赤沢家はいつか世界でも活躍するかもしれないと私は思っていたからだ。


 私は辛いホイコーローを完食して舌直しに水を飲んでいた。


 そこで次のご飯もの。それはカニチャーハン。それもお米が赤くチャーシューやネギ、カニを細かく刻み、卵も細かく刻まれている食べやすいチャーハンだ。


 ただお米が赤いということはスパイスで辛いソースを使っていると分かる。


 食べてみたところ、それも先ほどのホイコーローと同じ辛さ。この中華料理店の辛い料理は激辛というわけではない。


 美味しさと見た目、匂いを重視しているのかもしれない。


「どう? カニチャーハンは? 美味しく食べられるでしょ?」


「はい、先ほどのホイコーローの辛さでカニもお米も合わせて美味しく味わえます」


「カニは幸福の象徴だから、私達のような資産家にとっては欠かせない食材よ」


「カニが食材ですか。生き物とも言えますが」


「そうね。ちなみにここで使われているカニは国産でちゃんとしたカニ漁の皆さんが私達赤沢グループと取引しているのよ」


「ここだけで使われているわけではないのですね」


「あなたもカニのスープは時々飲むでしょ?」


「はい、屋敷の料理人さんが作ってくれます」


「あれもそうよ。まあ、運気のいいものは重視されているからね」


 こういった運気の話で盛り上がっているうちに私とお義姉様はカニチャーハンを完食。


 そして最後に出たデザート。それは蒸しカステラ。


 一般の中華料理屋などではあまり見られないデザートだが、この店では最高級の小麦粉などを使用して作られているようだ。牛乳もスーパーに売っているのではなく中国から取り寄せた高級な乳牛の乳からとれた牛乳だそうだ。


 それらの高級な素材で作られた蒸しカステラ。そのふわふわ感がほっぺが落ちるほど良い。


「こんなにおいしいもの初めて食べました」


「あらそう? こういうところでしか食べられないデザートで私は昔から好きだったわよ」


「昔から食べていたのですね。羨ましいです」


「こういった甘いものは好きよ。カロリーが高いから運動を欠かさずにいられなくなるのは難点だけど」


「はい……体重は……心配になります」


「まあ運動を欠かしていなければ問題はないわよ」


 絶景と美味しい料理。資産家の暮らしはまさに贅沢というもの。一般市民の常識では考えられなかった。


 食事を終えた後、私はお義姉様を私が連れて行きたいという場所へ連れて行く。


 運転手の執事に例の場所を伝えたところ、執事も場所は分かっていたようで私はそのことを執事に聞く。


「分かるんだ」


「はい、運転手たるもの、様々な道は常に覚えておくものです。それではご案内いたします」


 私はお義姉様と後部座席に乗って目的地を目指す。今の時間はまだ19時くらいでまだまだ夜は始まったばかり。


 人通りはあって車も結構通る。


 そんな広い道を高級車の中にいるチャラい感じの女子2人が乗っているなんて少し不自然な感じだ。


 それでもそんな感じをお義姉様は楽しんでいた。


「ところで水火さん、私達が向かう場所ってどんなところ?」


「はい、駅前のストリートです。特に夜は賑やかでお買い物を楽しんだりできるんです」


「そんな場所ね。若い一般市民や危ない方が多そうで危険だわ」


「護衛はいるのでは?」


「まあね。それで、あんた空手やっていたんでしょ?」


「まっまあ……」


 お義姉様は私に自らを守らせるつもり満々だった。しかしそれは私を信頼しているという意味なのかもしれない。

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