第17話 暴走する女を徹底的に追い込む その2
青山一家は徹底的に追い落とすと決めた私。彼らに情状酌量の余地はない。
私は岸本さんから得た情報をまとめて屋敷に戻った。
屋敷で青葉の部屋で青山の事について説明する。
「なるほどね。でも僕のひいお爺様の弟の孫ってもう赤の他人といってもいい」
「そうだよね……じゃあ彼女が調子に乗るのは?」
「僕の親族だからと勘違いしているみたいだね。それに彼女はどうやら人を見下したり気に入らないなら人生を奪うようだね」
「そう……でもそういう人って何をするか怖いよね」
「そうだよ。彼女は既に犯罪を犯している。赤沢グループの弁護士を連れて警察もスタンバイさせよう」
次の日、何も知らない青山はオーナーに呼び出される。
「お呼びですか? オーナー」
「青山君、どうして呼ばれたか分かるかい?」
「何も、呼ばれた理由が分かりません」
「そうかい、じゃあ青葉様。お願いします」
青葉が、青山が入ってきた入り口とは別の入り口から入ってきて青山に質問をする。
「君の事は調べてもらった。どうやら前夫にあらぬ罪を着せて不当解雇させたそうじゃないか」
「青葉様、そんなことは両親がやった事で」
「どうして両親がやったことだと分かるのかな?」
「えっ?」
青山はこのオーナーの言葉でひやひやした。悪事がバレたと思ったのだ。
「俺は、青山君の話だけをしていて、君が前夫を不当解雇させたのかと聞いただけで君の両親のことについては、一言も言っていない」
「ぐぬぬ、そうです。不当解雇させました。ですが悪いのはあいつです。あの男の稼ぎが悪いから、他の男に乗り換えたんです」
「男というのは浮気相手だね。残念だけど、彼は赤沢グループ傘下の会社の社長だったから、最高責任者のお兄様が今回のことで今日、解雇させたそう」
「ふえ……じゃあ……私は?」
「無職の奥さんか彼女になったわけ。でもそんなんで終わらない」
ここで私の出番ってわけ。私がオーナーの部屋に入る。その格好は清掃員の姿で。
「あなた、あの清掃員? どういう?」
青葉君が説明に入る。
「君が散々この清掃員をいじめてくれたことは監視カメラで確認させてもらったよ」
「どういうことですか? プライバシーの侵害ではないですか?」
「何を言っているんだ? 君はちゃんと会社の契約書に同意したでしょ? 監視カメラの監視についてもその中にあったはずだよ」
「そっそんなことは読んでません」
「読んでないも何も、契約書に同意した時点で許可を得たことになるの。君に拒否権はない」
「そんな……」
「それから、君がいじめていた清掃員。いいよ、清掃員。眼鏡とバンダナを取って」
私は眼鏡とバンダナを取る。青山は私を見て驚いた。何しろ青葉の妻だから。
私が青葉の妻であることは赤沢グループのSNSやホームページを通して社員全体に伝わっている話。
その妻を見たとたんに青山は土下座をする。
「申し訳ございません。まさか青葉様の奥様だったとは知らなかったのです」
私は青山を許すことなく追い詰める。
「私じゃなかったら容赦なくいじめていたって意味でしょ。 そんな人はいるだけで恐ろしい」
何も言えなくなった青山だが、おそらく前夫や両親を利用して対抗してくるはず。
だからこそ、今のうちに対処をしておいた。
青山はまだ両親に頼んで会社を訴えればと思っていたがそれは叶わない。青葉はさらに青山を追い詰める。
「ついでだけど、弁護士を連れて君の前の旦那さんのところに昨日行ったよ。そしたら、前の旦那さんは君の両親の悪事の証拠をつかんでいたみたいで、君のご両親は逮捕された」
「嘘でしょ……じゃあ……それが本当なら私は……」
「その前に君も罪を償わないと。既に下で警察が待っている」
「そんな……警察なんて。そんなことをしたらこの会社や赤沢グループの評判も落ちてしまいますよ!」
オーナーがそこへ口をはさむ。
「そんなことはどうだっていい。むしろお前みたいな奴がここにいることが害だ。警察に捕まって罪を償え!」
「ひい……!」
こうして青山は警察に逮捕され、執行猶予付きに有罪判決を受けた。
青山の両親たちは前夫を不当解雇におとしいれたことで名誉棄損の慰謝料などを請求され、人望を失った。
その後、私は屋敷で青山の前夫に出会った。
「あなたが、青葉様の奥様ですね」
「水火と申します」
「私の前妻に制裁を加えていただいて感謝します」
「そちらも不当解雇とかで大変だったのでは?」
「はい、それでなんですが実は青葉様からスカウトされて、交通会社で働くこととになったのです」
赤沢グループはホテルなども経営しているが基本は交通会社メイン。青葉がお義兄様に頼んで青山の前夫を雇用したのだろう。しかし、何故交通会社に勤務するのか気になった。
「それはまたすごい。ですがなぜ交通会社なのですか?」
「元々交通会社のメンテナンス作業をしてたので。その伝手です」
「それはまた何かご縁があったというわけですね。ではまた会うこともあるでしょう」
「はい。困ったことがありましたら、奥様にもご相談することがあるかもしれません」
「ご相談なんて、いつでも頼ってください」
「ありがとうございます。それでは私はこれで失礼します」
青山の前夫はそれだけを言って屋敷を去った。
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