第9話 ウェディング その3
里志さん改め、お義兄様と会長改めお義父に私と青葉君の結婚を認めてもらえて私は落ち着く。
私と青葉君はお義兄様にお礼を言って部屋を後にする。
これで、あとは私が16歳の誕生日から2週間後くらいに結婚式をあげて結婚する。
婚姻届けは結婚式を挙げてからと決めた。それは、結婚するにはグループの皆さんや神様の前で結婚の誓いをしてからの方が末永く青葉君と幸せな結婚生活が送れると思ったから。
青葉君も私のこの意見に賛成してくれた。
私と青葉君は結婚式の打ち合わせを行うと、赤沢グループ傘下の会社に招待状を送る。
きっと女性社員やメイドから嫉妬されるかもしれないと私は恐れていたが、特に嫌がらせや悪い目で見られるなんてことはなかった。
しかし、結婚の前に私にはやり残したことがある。それは私の家族の事。このことは結婚の告白をした日に青葉君にお願いしたこと。
お義兄様の部屋を後にして青葉君の部屋に入った私は、青葉君がベッドに寝っ転がるタイミングでお願いをする。
「青葉君……私の家族の事なんだけど……」
「大丈夫、水火の話を聞いて調べていたんだ」
「私……家族のことは思い出したくない……」
泣きそうになる私を青葉君が抱きしめて落ち着かせる。
「落ち着いて、ゆっくり説明して」
「お父さんは……経営者で……会社名が成川ラインって名前……」
「分かった。調べてみる」
青葉君は私を、私の自室に送ると執事と何人かの護衛と一緒に出掛けて行った。
それから夜になって屋敷に帰ってきた。
青葉君が帰ってくる前に私はその日の仕事を終えて赤沢グループの衣服屋で買った黒服などの私服に着替え、屋敷のメイドや執事達と食事をしていた。
執事とメイドは私が指示を出して食事をしようと誘った。そのため、執事とメイドは命令に従って私と食事をしている。私も1人だけの食事は寂しいため、彼らと一緒に食事ができるのは嬉しかった。
私の家族よりも家族らしくて楽しい食事だった。
食事を終えた頃に青葉君は帰ってきた。私は玄関で青葉君を迎える。
「おかえりなさい」
「ただいま、水火。お迎えならメイドにやらせればいいのに」
「私が迎えたかったからいいの」
「ありがとう……」
笑顔で迎えてくれた私を見て青葉君は照れて顔が赤くなって下を向く。
そんなことお構いなしに私は右手で青葉君の右手を掴む。そして一緒に歩く。
「それで……どうだったの?」
「うん、今日は赤沢グループの傘下である情報屋の岸本さんに会いに行ったんだ」
「岸本さん……?」
「ああ……その……女性の方なんだけど、浮気とかじゃなくてね。頼れるお姉さん」
「ふーん……そうなんだ……」
青葉君が浮気してると思ってしまった私。誤解だと青葉君が私を説得する。
「仕事で頼れる人なだけだって。僕が愛しているのは水火だけ。あの時ホテルで言った言葉は嘘じゃない」
「そう……だよね……ごめんね……私、そんなつもりじゃなのに……」
「いいんだって。結婚の前に女の話をしたら不安になるのは当然だからね」
「それで、私の両親の事は?」
そこから、青葉君は私に辛い真実を語る。
「岸本さんの話だと、水火のお父様。僕にとっては義理のお父様は、とんでもないことしていたよ」
ここからは岸本さんと青葉君のやり取り。岸本さんの家を訪れていた青葉君は2人っきりとなり、岸本さんの話を聞く。
「岸本さん、僕と結婚する水火のお父さんのことなんだけど、そのお父さんは成川ラインって会社の社長らしい。そのことで情報は持ってない?」
「成川ラインですね。表では証拠がありませんが、裏では噂になってます。社長は同じ交通会社を経営している赤沢グループを超えたいためか、莫大な資金を集めるために詐欺を行っているそうです。だまし取った額は、千億はあります」
「千億円ってこと? 世界中の人からだまし取っているってこと?」
さすがの青葉君も千億円という額には驚いた。私もお父さんが詐欺を行っているなんて知らなかったけど、だまし取った額のほうが驚きだった。
「そうです。交通会社というわけでそれ関連の投資と偽って莫大な金をいろんな会社から取っているみたいです。社長は交渉術が上手くて頭もいいらしいです。万が一の事も考えて空手をマスターしているという話もあります。それを子供に教えているとも」
「空手? だから水火は空手が出来るんだ。水火からは、厳しい家庭と聞いたけど、空手のことは聞いてない……もしかして、社長が水火に厳しいのって?」
「会社を継がせて世界一の天才の子と思わせるのが狙いですね。そうすれば、会社の信用を得られ、詐欺がバレる心配もないということです。仮に疑われても優秀過ぎる大手の会社が詐欺を行うはずないと思うのが普通の人が考えることですし、警察も動かないわけです。ちなみに娘さんは知らないらしいですが社長の奥さんも共犯らしいです。お互いに悪知恵を働かせて詐欺をしているようです」
これが、青葉君と岸本さんの話の内容の全てだった。私の両親は地位と名声のためなら汚いお金を手に入れてまでこんなことをする。私に厳しかったのも全ては犯罪に手を染めてまで自分達が赤沢グループよりも上になりたいから。
私はそんなことのために人生を使わされた。そう思って私は泣いた。悔しくて辛くて、涙があふれて止まらなかった。
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