第10話 イカも干されりゃスルメになる
「イカ退治って2年振りだなあ」
巨大イカなら14歳の時に経験している。
岬の突端に立って巨大イカを見る。
2年前に倒したイカとそっくりだ。
鑑定して見る。3つの心臓9つの脳。
間違いないあいつだ。あの時は苦労したけれど
あれから2年私も段違いに強くなっている。
ちゃちゃっと倒してスルメにしてやる。
舌なめずりするおとみ。
なんか色っぽい!ドキッとする才蔵佐助
おとみは収納から弓矢を取り出す。細い紐が結ばれた矢を
つがえて弦を引き絞るイカの耳が水面に浮上した瞬間
矢を放つ。ヒュンと飛んで見事に命中した。
もっとも、この大きさなら外す方が難しいと思うだろうが
余分な紐が付いているので目標まで、届かない恐れもあったのだ。
「【筋力減少】、【重量減少】付与!」と唱えると一瞬イカが光った。
おとみは紐を引っ張ってイカを引き寄せる。
イカは反発するように足を岩場に吸着しようとするが。【筋力減少】
のせいで吸盤の力も弱くなっていて簡単に引きはがされる。更に
おとみの怪力で、【重量減少】したイカは、
岬の上までヒョイッと引き上げられた。
逃げられないように崖から離す。
おとみは邪魔になる紐の付いた矢を抜き取る。
おとみは左右の手に、小刀を持ってうにょうにょ動く8本の足、
2本の長い触腕を本体から切り取りにかかる。
小刀に火炎魔法を纏わせて舞うように手足の付け根に
斬りかかった。
2年前は切っても切っても再生するのに困らされた。切った断面を
焼いてしまえば再生しない事に気が付いて、楽になったのだ。
断末魔のイカの墨攻撃にさらされたので
一気にとどめを刺すことにした。
収納から槍を取り出して、槍の刃にエンシェントドラゴンの
【フアイヤーブレス】を付与してイカの3つある心臓のところに
槍を突き刺した。
「ブレス発動!」槍の刃に付与した【フアイヤーブレス】が発動
した。透明に近いイカの体内で強力な火炎が心臓諸共内臓を焼き
尽くした。
鑑定してみると、イカは死んでいた。
【クラーケンSクラスの魔物】と表示された。
鑑定のレベルも上がっていたようだ。
「ふーん。クラーケンと云う魔物だったのね」
「この世界にも魔物っていたんだ……」
しかしながらこの世界の人たちは魔物ではなく怪物と呼んだ。
「凄い凄い今のイカの体内で火が燃えたようだが
あれは何だったんだ?」
いつの間にか周囲に人々が集まっていた。
「あ、あれは……忍術です」
おとみの中の登美枝がとっさに答えた。
「私は忍びの者、くノ一おとみといいます」
「くのいち?」
「女の漢字をばらしてみると、くと、ノと、数字の一に別れるんで
くノ一。女の忍者という意味です」
「ほほう。はじめて見聞きしたが忍者というのは凄い
を使う人なんだな!!」
人々は感心した。
これがニッパン国の歴史に忍者、忍び、くノ一が登場した
最初の事件だったとか違うとか……定かではない。
人々の後方で腕組みして見ていた男が呟いた。
「忍者に、くノ一か……面白い。あの女強いな、
1度戦ってみたいものだ。そしてあの2刀を使う戦い方。
面白い。儂も修行してみるかな」
おとみはさっさとクラーケンを収納して食べ方を考えていた。
おとみの中の登美枝が無性に刺身を食べたがっている。
「あのう、この辺に醬油とワサビを売ってるお店は無いですか?」
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