第9話 尾阪の町へ行こう
おとみ達は
店には綺麗な宝玉をあしらった様々な簪が売られていた。
それを眺めるおとみの眼もキラキラ輝いている。
(嗚呼、おとみも女の子なんだなあ)と、佐助も才蔵は思う。
(本性は残念な
細工職人で有る店主にホーンラビットの魔石を見せる。
魔石はホーンラビットの目のような透き通るような赤で、
店に飾られている簪の、どの宝玉よりも美しかった。
「生まれて初めて見る宝玉だな。しかし余り堅くはなさそうだ。
細工に細心の注意が必要みたいだな。なんて名前だって?」
ホーンラビットの魔石だけど」
魔法の概念の無いこの世界では魔石と言われても理解出来ない。
「ウサギの目のような色だから【
魔石が目石になった。
【ラビットアイストーン】の誕生である。
この物語を読んでいる貴方の世界では赤い目のウサギは
明治維新後に愛玩用に日本で作られた品種だそうだが、
ここはニッパン国なので自然界にも赤い目の兎が
普通に生息しているのです。
「1個3万円で買うがどうするね?」
おとみは店主の(5万円でも安いが、どうせ価値も判らない
田舎者だろう)と言う心の声を聞いてしまった。
「7万円なら売ってもいいけど……」
と吹っ掛けてみる。
「うむむ、では6万円」「良し、売った」
「買った」勢いで言ってしまった店主。(あれ?俺が乗せられた?)
「あと、こんなのも有るけど」
ルビーのように赤い、10センチもあるオーガの魔石を出す。
「こ、こんなに大きい宝玉はうちでは買い取れないな。もっと大きな町の
大きなお店に行くと良いぞ」
「そう、わかったわ有難うおじさん」
にっこり笑うおとみ。
「ああ、いいってことよ」
おとみの邪気の無い笑顔に、メロメロになる店主。
修行の旅で【親父殺し】の能力も得ていたようだ。
おとみには能力【小悪魔】とあったので、
何のことやら理解できなかったのだ。
「ということだけど、この後も付き合ってくれる?」
「ああいいよ」即答する佐助。
「しょうがないなあ」と言いつつ嬉しそうな才蔵。
【小悪魔】全開か?
取り敢えず次の大きな町は海岸線を通っての【尾阪】が近い。
近いと言っても普通の人の足で10日は掛かる。
彼らなら4日で着けるかも知れないが、
あくまでもアクシデントが無ければの話である。
海沿いの道を談笑しなが歩いていると何やら人々が集まって
騒いでいる。
何でも巨大なイカが住み着いてしまって、漁船を襲っているらしい。
イカと聞いておとみが反応する。
「スルメ焼いて食べたい」ぼそっと言った。
おとみは人々の所へ走り出す。
「そのイカってどこにいます?」
「あそこの岬とその沖の無人島との間の潮の流れの速いところに
いるってよ」
「そのイカって勝手に退治しちゃっても大丈夫?」
「ああ、退治してもらえたら有難いな」
おとみの後ろに居る青年2人が退治するのかと思った
おっさんが答えた。
「その退治したイカって貰えますか?
「おおよ、遠慮なく持っていけ。倒せたらな!」
「はい。じゃあ頂きます。行って来ます。」
「おいおい兄ちゃんたちお嬢ちゃんにケガさせないように
しっかり守ってやんな」
「は、はあ……」
あれよあれよと巨大イカを退治することになって面食らっている
佐助と才蔵だった。
岬に着くと、確かにいた。クラーケンと云う名の巨大イカが!
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