第4話  とみ疑われる

甚兵衛がマッサージをうけているちょうどその時、

甚兵衛の娘のきよとその娘のみよが入り口の前に立っていた。

狼煙を見て肉を受取に来たのだった。

家の中から甚兵衛の悩ましい声が聞こえてくる。

「うう~ん、そこそこ、そこが気持ち良い。はあ~」

「ここ?ここがいいのね?」

若い女の声も聞こえる。

「爺ちゃんいい年して若い女を連れ込んでるー!」

みよが叫ぶ。

「みよ1、2、3で飛び込むよ」

「うん、1,2,3」

がらがらがら

「どこのあばずれ女だ!うちの爺ちゃんをたぶらかすな」

そこには、布団にうつ伏せになって腰を揉まれている

甚兵衛と、手から神々しいオーラ放つ、とみがいた。

「え!、」「ええ、」

「何だ、きよとみよじゃないか。」

「い、今、爺ちゃんのいやらしい声が聞こえたから

商売女でも連れ込んでるのかと思ってさ」

「馬鹿言うな。儂にはそんな元気は無いぞ

儂はこのおとみちゃんに腰の痛みを治してもらっていたんだ

おとみちゃんに失礼だろう謝れ!」


「勘違いしちゃってごめんなさいね私は(きよ)よ。甚兵衛の

娘よ。こっちは甚兵の孫の(みよ)宜しくね」

「で、父さん、なんでこんな綺麗な娘さんがここにいるわけ?」

「ああ、実はな、儂がこの【月の輪羆】(つきのわひぐまに)

襲われていたところを助けてもらってこの死体をここまで運んで

貰ったんだよ」


きよとみよは俄には信じられなくてジーと甚兵衛ととみを

睨んでいた。

「へえーえ~、こんな華奢な子があの【月の輪羆をねえ】?」

『何だ、儂の言うことが?信じられないのか?」

「信じられるわけないわ。鹿を倒したと言うならまだしも、

【月の輪熊】(つきのわぐま)なら間違ってっちゃったかもって……

思うことが有るかも知れないけれど……ねえ~」「ね~」

「それならばどうすれば信じられるんだ?」

「そうね~、佐助兄ちゃんか、

才蔵兄ちゃんに素手で勝てたら信じてもいいかな」

「みよ、さすがにそれは……」


「甚兵衛とっつあん、肉を貰いに来たぞー」

「あ、佐助兄ちゃんだ。兄ちゃんこの女と試合して

けちょんけちょんにやつけちゃって!」

「なんの話だ?うわ綺麗な女の子!」

「実はこれこれこう言うわけでね」

きよが佐助に説明する。

「そういうことならやってもいいぞ。噓はついたらいけない

事を教えてやろうじゃないか」

(あ、こんな奴前にもいたな)

とみは初めて冒険者ギルドに行った時のことを思い出した。

(やっぱこんな奴はお仕置きしといた方がいいよね)


「おとみちゃん、どうする?」

「私ならいいよ、素手で試合すりゃ良いのよね」

「いいのか?こいつこう見えて手練れだぞ」

「こう見えてってどう見えてんだよ!」

「ん~、へらへらした、小男かな」

『何だーこのアマ失礼な奴だな許さねえ、こう見えても

俺は猿飛の佐助と言われる男だ。女だからと言って手加減

しないからな」

「望む所よ。得意な武器えもので、かかってらっしゃい」

「くそ!生意気なアマだな良し行くぞ!」


こうしておとみと猿飛佐助の試合が始まった。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆


ここは、日本に似てはいますが、日本ではないので

そんなのおかしいだろうと思う事が起きますので

予めご承知おきください。













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