第17話 中間テスト

 そしてやってきた中間テスト。根森さんからの助言で夜眠るようにしたからか、テスト前とは思えないくらい体が軽かった。


「おはよ。その感じなら、ちゃんと寝てたっぽいね。感心、感心。」

「そう言う根森さんこそどうなのさ?いつもより眠そうだけど。」

「私のことは気にすんな。それより、最後に復習しといた方がいいんじゃねぇか?私より頭の悪い沖田くん。」

「くそっ!」


こればかりは口ごたえのしようがない。なんせ、この数日間は根森さんに教えられてばっかだったから。そのおかげで今回のテストは今までにない自信があるけど。


「テスト、楽しみだね。」

「そう思ってるのは根森さんだけ。」


チャイムが鳴る。もうすぐテストだ。


 そして1週間後。


「終わった〜!」


ついにテストが終了する。本当に長かった。けれど手応えは抜群!これならいい結果を残せそうだ。


「あっ、そうだ!「沖田。」ん?」


声のする方を見たら、根森さんが指をもじもじさせながら立っていた。


「どしたの?」

「今日さ、この後どっか行かない?」

「根森さんから誘ってくるなんて珍しいね。」

「たまにはいいやん。それに、話したいこと、あるから。」

「そっか、じゃあどこがいい?」

「カラオケとか。他の人に聞かれたくないから。」

「ん。じゃあ行こ。」


俺は手早く荷物をまとめて、教室の外に出る。廊下は「テストどうだった?」って会話が渋滞していて、五月蝿い。


 近く、ではなく何駅か離れたところにあるカラオケチェーン『虹色』に来た。ここに来るのは初めてだが、うちの学校の生徒に見られないようにした結果だ。


 根森さんは移動中もどこが落ち着かない様子だった。俺と2人きりなんか何回もあるのに、まるで初めてみたいに。


「あのさ。」


部屋に入って電気をつけるとすぐに、根森さんが口を開く。


「私の昔話聞いてもらっていいかな?」

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