第14話 俺は夜は眠れない①
そんなこんなで、もう1学期中間がやってきてしまった。あれからというものの、根森さんはたまに寝ているが、以前に比べたら起きていることの方が多くなって優等生っぽくなってきたと思う。
「根森さん、進んでる?」
「私を舐めんな。それより自分の心配した方がいいんじゃねぇか?私より成績の悪い沖田くん。」
「にゃろ。」
明日の日曜日は根森さんがうちに来て勉強する感じに決まっている。気にしないのかって訊いたら、「ぜーんぜん!」って返された。なんか男としての尊厳が無くなった気がする。
うちの学校の中間テストは1週間ぶっ続けでテストがある。理系クラスの俺たちは当然理系教科が多いわけで、「いかに覚えているか」よりも「慣れ」要素が大きい。その分問題を解かないといけないのだが、生憎休みの日は友香たちの面倒を見ていたから手をつけれていなかった。そんなのを成績が悪い理由にしたくないのだが。
そういう意味では、根森さんが手伝ってくれるのは助かる。そのことを友香たちに話したら喜んでくれたし。
「ありがとね、根森さん。」
「どうした?柄にもなく。」
「いーや、こっちの話。」
俺は眠い目を擦る。普段見せないその行動には理由があった。
その日の晩。俺は机に向かっていた。
「やばい、やばすぎる」
全然終わらない対策と宿題の山。テストまでもう1週間なのに、終わりの見えないトンネルの中だ。
「実兄〜、ねるね〜。」
「友香、もうそんな時間か。おやすみ。」
「おやすみぃ〜。」
2人には済まないが寂しく寝てもらっている。こういうときは友香がしっかりお姉ちゃんをやってくれるのでありがたい。
「くっ、さすがに疲れてきたな。」
一昨日は1時間、昨日は30分。今日はどれくらい寝れるだろうか。
(根森さん来るし、それまでには起きとかないとな。)
リビングにコーヒーを取りに行って、ついでに氷砂糖を舐める。口いっぱいに広がる甘さにコーヒーの苦味が合わさって、少し目が覚めた。
「シャワーでも浴びるか。」
眠気覚ましにシャワーを浴びて、髪を乾かす。
「よし!」
頬をパンと叩いて気合いを入れる。まだ夜は始まったばかり。これからブーストが入るまでノンストップでやり続けて、そこからは頭が止まるまでかな?
(何時に寝れるのやら。)
時計を見る。短い針は10のところを指していた。
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