第11話 友は友を呼ぶ②

「ういす、根森さん。」

「ちょっと待て。私はまだこの状況が飲み込めていない。」


根森さんはふぅ〜と深呼吸をする。


「ってことは、私の誘いを断ったのは?」

「こいつらの面倒を見るためだ。」

「たしかに、それは断るか。」


休日に会えるはずのない相手と会うってやっぱりどこか気まずくなる。しかも、よりによって誘いを断った相手なんて。


「まぁ、いいや。あんまり難しく考えても楽しくないだけやし。友香ちゃん、何して遊びたい?」


リードを柱に括り付けながら根森さんが聞く。その犬をモフモフしていた手を止めて、友香はパァーっと笑顔になった。


「じゃあね、じゃあね!あれやりたい!」


友香が指さしたのは夢乃が乗っているジャングルジム。夢乃がやっているのを見て羨ましくなったんだろう。


「それなら俺一人で十分だろ。」

「あおいちゃんとおしたらもっとはやくなる。」

「1+1は2になるか。そこにかけ算しないといけないのを知らないもんね。」

「まぁ、合わせるから根森さんは好きなように走って。」

「おっ!お兄ちゃん頼もしー!」

「揶揄うな。」


根森さんは友香の身体を支えながら、友香を上に登らせる。


「2人とも、しっかり掴まっとけよ。」

「「はぁーい!」」


2人は元気よく返事して、棒に掴まる。


「根森さんもいくよ。」

「おっけー。」

「「せーの!」」


勢いよく走り始めた俺たちは、さっきまでのスピードとは比べ物にならないくらいで走っていく。それでもまだ全力ではなくて、余裕がある感じだ。


「うひゃひゃひゃひゃ!」

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」


上の2人も楽しそうに笑っている。


「沖田!もう1つ上げるぞ。」

「望むところだ!」


その声に合わせて、もう1つギアを上げる。根森さんも当然ながらギアを上げていて、さらにスピードが上がった。


「根森さんって足速い?」

「人並みにはちゃう?」

「いっつもあんなんやのに。」

「あとでぶっ飛ばす。」

「ごめんて。」


楽しそうな上の2人と根森さん。その顔が見れるだけで体力が回復していく。が、


「ごめん。もう限界。」


根森さんの体力が先に尽きてしまう。少しずつスピードを緩めていって、ジャングルジムの回転を止めた。


「2人とも、降りてこーい!」


俺が両手を広げると、夢乃が飛び降りてくる。しっかりそれを受け止めて、地面に下ろした。


「危ないって言ってるだろ。」

「ごめんなさい。」

「俺は慣れてるからいいけどよ。」


根森さんサイドも友香を下ろしていた。


「ちょいと休憩すっか。」

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