第P章 奇跡

――――――――

時は経ち幾百年後の秋の季節


幾十年後───


1人の少年が窓の外を眺めていた。

「……」

「そんな所で、なに見てるの?」

「……!!」


静かに語りかけてきた齢十七歳位の女性に、驚き振り向いた齢八歳位の少年の瞳は、悲しみを仮面に隠した様な……感情を押し殺し無理している様なそんな色をしていた。


「そんな所で、なに見てたのかな?」

「……アレ……」


少年の指の先は、孤児院の前で演奏をしている集団であった。

孤児院の名前は『クルス院』、あのお祭りの八年後に設立された一番最初の孤児院である。


「あぁ!あの人達は、毎年この時期に演奏しに来てくれる方達よ」

「……何のために?」

目を細め集団について語る女性に少年は質問をする。


「明日がお祭りの日だから、毎年この時期になるといろんな人達が演奏をしに来てくれるの!」

「そう……なんだ……」

そして、共に窓の外を眺めた。

少年のその顔は、ほんの少し笑っている気がする。


「そうだ!自己紹介がまだだったね!!」

手を『パンッ!』と、叩いて少年の方を振り向いた。

「……ない……呼ばれた事ないから……」

少年は、女性の目を見て呟くと、窓の外に向き直る。


「そっか……なら、そうね……『ロキ』……うん、そうだ!

あなたの名前は、今日から『ロキ』君ね!!」

少年の返答に少し悲しそうな顔をしたが、女性は考える素振りをして誤魔化してから、笑顔で告げる。

「……!……勝手にして……」

驚いて女性の方を向いてしまった少年だが驚いた後に、少し嬉しそうに眉根を下げて告げる。


「よろしくね、ロキ君!!」

「……よろしく……えっと……?」

少年は差し出された手に戸惑い顔で、女性の顔と手を数回見比べてから、その手を掴んだ。

そして、女性の名前を知らないため困っていると……。


「自己紹介してなかったから名前知らないよね。私の名前は『ミツキ』だよ。さぁ行こっか、ロキ君!」

満面の笑みを浮かべた女性のその顔を『綺麗』とロキは思い……そして、2人は手を繋ぎながら外へと歩いて行った……。


ーーーーーーーーーー


これは、誰も知らない物語……小さな小さな物語、『出会いの奇跡、別れの軌跡』世界の片隅で語られた小さな物語エピソード


1つの物語が終わり、新な物語が幕を開けた。


それを知っているのは、物語を紡ぎし者達だけである……。


           第P章 奇跡(完)


_______________


『small nameless story~名も無き小さな物語~』はこれにて一つの区切りを迎えました。

最後までご読了ありがとうございましたm(_ _)m


お昼頃にメインキャラと村などの紹介を公開しますm(_ _)m


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