第五章 いつかの未来へ 6
四人が手を合わせ終わった後、ライが口を開いた。
「まず、俺たちから話すね。」
お墓を見つめてから、順番にロキ(女性)、サキを見ていき、最後に隣のリーネと目を合わせて、頷き合って正面を向き。
「俺たちの子供が男の子なら、『ロキア』にしようと思っているんだ!」
次にリーネに目を向けて。
「女の子……なら……『ミツネ』……にしようと……思って……います!」
「何か由来があるの?」
「あぁ!」
「大事な……人達の……名前から……とったの!」
ライは真剣な眼差しでお墓を眺め、リーネは、胸の前で手を握りながら目をつぶり、首肯した。
「え……!!」
そしてロキ(女性)は、その言葉の何かに気づいた感じに驚いたが、サキは気づいた様子は無く。
「へぇ~、良い名前だね」
と、笑っていた。
「二人で話し合った中で、コレしか無いと思ったんだ!」
「それに……この子には……ね!」
最後にライを見上げて、お互いに微笑んだ。
「え~、気になる!」
一人、無言で下を向いていたロキ(女性)は、1シズクの涙を流してから、前を向き。
「どっちの名前も良い名前だね」
と、微笑んだ。
続いてサキの番になり───
「次は私が話すね。私は見ての通り娘と息子がいます」
と笑って、ネルとの出会いと今がどれだけ充実しているかを語った。
「あ、それとね、娘の名前は『ミーリ』で、息子の名前は『キール』だよ」
夫と二人の子供達の方向に視線を向けなから、『本当は、会わせたかったな……』と、目を細めて小さく呟いた。
最後にロキ(女性)の番になる──
「最後は私の番だね──私は、多分あの頃から進めて無いと思うの……ロキ君が亡くなったあの日から……」
小さく話し出して、お墓を見てから空に視線を向ける。
「もし、ロキ君が今も居てくれたら……」
俯きながら目を瞑り、一度首を振って『違うな……』と呟き、三人を見て。
「……私は、ロキ君に『恋』してたんだと思うの……たぶん、出会ったあの日に!」
それは、あの頃の自分には理解出来てなかったこと、今なら『
「十年……長い間、言えなかったけど……私のこの想いは私の大切な一部だから……私は、この想いと共に生きようと思うの……」
「お姉ちゃん……は……本当に……」
リーネが悲しそうに、呟き……だか、その続きを話さなかった。
他の二人も真意に気付いたが、ロキ(女性)の向けているその目に何も話せずに目を逸らした。
「もうすぐ始まりそうだね……戻ろう!」
スッと広場の方向に目を向けてから、話題を変えるように皆に語りかける。
「あぁ……」
「「うん……」」
三人はそれぞれ返事を返して、もう一度全員でお墓に向かい『また、来るね(来るよ)』っと語りかけて、ネル達の所に歩みだした。
続く
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