第五章 いつかの未来へ 7


ネル達の所に戻り、七人で広場の方向に歩きだした。


「あの、僕はこの村のお祭りは初めてで、具体的な内容を知らないのですが、教えてもらえますか?」


広場の入り口にたどり着いた時に、それまで子供達を抱えてサキ達と話していたネルがタイミングを謀った様に聞いてきた。


「そうでしたか、わかりました!」

ロキ(女性)が一度頷き、祭りの内容を語りだした。

「簡単に説明をしますと、祖先の霊を迎えて、その年の成人を迎える人達が守られる側から、守る側になることを誓うのです」


ライが補足の説明を語りだす。

「子供の時は、祖先の霊や周りの大人達に守られている立場ですが、成人を迎えて今度は、逆の立場になることを、心かける為の行事みたいなモノですよ」


『それでも、ただの誓いだけどな……』と、ライの陰りあるその呟きは、ネルには届かなかった。 

「 ? 」


ネル達が話している横で、サキとリーネは話し合っていた。

「リッちゃん、私ね。『孤児院』を造ろうと思うんだ!」

「サッちゃん……急に……どう……したの?」


サキの突然の告白にリーネは、疑問を口にした。


「うん、あの頃の私たちはお兄ちゃんがいたって幸運が有ったけどさ……、コレから先も悲しむ子供達が生まれない可能性は在るかも知れないし、少しでもお兄ちゃんの事を伝えていけるようにしたいって考えてるんだ」


「……うん……そう……だね……お兄ちゃんの事……忘れたく……ううん……忘れて……ほしく……ないよね……」

『それに……私の時……みたいに……いじめられて……ほしく……ないよ……』そう語る、リーネの呟きはサキは聞かないふりをした……。


そこで、サキが商会を大きくしたのは、もしかしたら、その為だったんだろうとリーネは導きだした。


そして……リーネが1つの提案をサキに話し出す。

「その時は……この村に……一番に……造って……ね!」

「うん、そのつもりだよ!」

二人はお互いに笑顔で頷き合った。



第五章 いつかの未来へ (完)


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最終章は、10/1から投稿しますm(_ _)m




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