第五章 いつかの未来へ 5
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目的地には、一組の夫婦達が待っていた。
「お姉ちゃん達、ごめんなさい。子供達が離れたくないみたいで、泣き止まなくなっちゃって、一緒に来ることになっちゃった」
サキは、申し訳なさそうに言って謝った。
「クスッ、それは仕方ないよ。まだ、小さいからお母さんと離れるの凄く不安になるよね」
言いながら、サキと一緒に申し訳なさそうにしている夫の方に向き直る。
「サキちゃんの旦那の方ですね。初めまして、私の名前は、『ロキ』です。」
「こちらこそ、無理に着いてきてしまい、申し訳なく思います。初めまして。僕は、サキの夫で『ネル・ムライ』と言います。妻がいつも、お世話になってます」
サキの夫、ネルは朗らかな笑顔で挨拶を返した。
「初めまして、『ライ』です」
「初め……まして……妻の……『リーネ』……です」
ロキ(女性)に習い、二人も挨拶を返した……リーネは、それでも、対人恐怖症が残っているようで、少し怖がりながらの挨拶だった。
「ロキ殿とライ殿とリーネ殿ですね。これからも妻とは、仲良くしてください。」
「もちろんです!!」
ネルの言葉にロキ(女性)が代表して笑顔で答える。
それは、ライ達に対するのとは違う仮面を着けたような笑顔──いや、笑顔というなの仮面──でネルの言葉に肯定する。
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妻のサキ達に対するモノとは違う、壁を作ったような笑顔で肯定したロキ(女性)に対して、不思議に思うところがネルには合ったが、妻達と話している姿をみて
そして、
「子供達は、ここで見てるから気をつけてね。
さぁ二人とも、ママは少し離れるけどすぐに戻って来るから、『イッテラシャイ』しようね」
サキに語りかけ、グズりそうになっていた子供達を優しく諭す。
「ネル君、ありがとう。じゃあ、……ママは少し離れるけど、すぐに戻って来るからね!」
ネルにお礼を言いながら、子供たち二人の頭を撫で上げる。
そして、ネル達に見送られた四人はお墓に向かった。
それは、あの時芽生えた想いの答えを探すように。
あの頃を懐かしむように。
あの頃を思い出すように。
あの頃を悲しむように、四人は数ヶ月間の彼との思い出を語り出しながら歩いていく。
続く
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