第五章

第五章 いつかの未来へ 1



そして、翌日の朝


「「ナムラさん、おはようございます」」

「ああ、おはようさん。ちゃんと休めたかな?」

「はい。作業はいろいろとやりましたが、ゆっくり休めました」

「それは良かった」

ナムラの質問に代表して、細身のダカルが答える。


朝の挨拶もそこそこに、食事を摂るために、居間に並んで向かって行くなか体格の良いガクがナムラ村長に尋ねた。

「そういえば、本日は何のお祭り何ですか?」


「……説明を忘れてたのぉ……、実はお祭りと呼んでいるが、今日と明日あすの二日間は死者の魂が現世に戻ってくる日でな、ワシらが賑やかに心の底から楽しんでいれば、死んでいった者達も楽しんでくれると信じられている……あまり縁起が良いとは、思われないじゃろうがな──」


立ち止まり振り向いて、一度言葉を切り、目を瞑る。

「これは、愛するモノを喪った悲しみに囚われず、ワシらが死したモノ達の未練にならないための行事なのじゃよ!」

「「……!」」

世界にいろんなお祭りや行事が在るように、『クルス村』も特別な意味を持つ祭事が存在していた。


「難しく考えなくてよい。ソナタらの唄を楽しみにしておるぞ!」

話が終わったとばかりに、ニコリと微笑み締めくくる。



                続く



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