第四章 とある詩人の答え 7

「…やっぱり、ここは、『救世主』にした方が良いのか?『勇猛果敢な者』にした方が良いのか?」


「『救世主』は、高潔な印象ですし、『勇猛果敢な者』は、厳つい感じがしますよ。

それよりは、ナムラ村長の言葉を一度考えてみた方が良いと思います」

ナムラ村長の言った英雄の定義は、二人が考えた事が無いモノだった。


「そうだな……ナムラ村長は、『いずれ訪れる報いを受け入れる者』って言ってたな……?」

「はい。どんな形であれ、報いは訪れる、そして、救われた者が新たに別の誰かを救った時に、『因果は廻り……因果は巡る……』とも言ってましたね……何故、そう考えたのか、解りません。」


「俺にも、さっぱりだ……ただひとつ言えるのは、ロキ君が彼女達を助けたから、こうして俺たちも巡り巡って助けられたって事実だよな……」


しばらくの沈黙……無言のまま見つめあった二人だが、何か思い出したように、笑い合った。


「そういえば昔、こんなこと言ってた人がいるな」

「ダカルさんも、思い出したのですか?」

「あぁ!!」



「「そのままの気持ちで伝える」」

自分たちの先駆者が、教えてくれた『決め事』…

『悩んだり迷ったりしたときは、考えず思った事を伝える』

『変に考えて変に拘るこだわるより、そのままの気持ちが一番大事だから』と。


「やっぱりさ、変に拘るのが一番ダメだよな」

「伝わらないですよね~!」


「あぁ、そうだよな……なぁ、話しは変わるんだけど……俺さ……新しい目標を見つけたんだ……」

突然ダカルが話題を変えてきた。

「何ですか?」

「実は、詩人ギルドを創ろうと思う!」

「いきなり……ですね!」

「あぁ!『嵐のように悲しみを吹き飛ばす風』になる吟詩団体ぎんしだんたいを創って、世界に笑顔を増やしたいと思ったんだ……手伝ってくれるか?」

「……!当たり前ですよ!(ニカッ)」

「ありがとうな、ガク!」


そして、灯った目標おもいを胸に作業を続けていく二人、そこには既に、迷いが感じれない。



――――――――


―同時刻―


とある、一室にて


(明日は、『お祭り』という名の……特別な日……そして……)


誰かの呟きが夜の星空に溶けて消える。


第四章 とある詩人の答え(完)


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第五章は!少し間を空けて投稿しますm(_ _)m

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