第三章 名も無き少女の物語 5

女性は2人に説得されて、休ませてもらう事を了承する。


「うまく休ませてあげれましたね。」

「そうだな……なぁ、村についたら、一曲唄おうと思う」

それは、彼女の質問に対する自分なりの答えを伝えるための唄。

英雄譚ではなく、小さな小さな物語。


「良いですね。何を唄います? 」

「それなんだが、これは昨日の夜に考えた唄だ……すまないが、曲を考えて欲しい! 」

言いながら、1枚の紙を見せる。


「……珍しいですね」

読みながら、いつもと違う内容につい言葉を溢す。


「あぁ、これは英雄譚じゃない、昨日の話を元に作った……」

『まだ完成してないけどな。』と告げ加える。


「まだ未完成……なんですか? 」

疑問を聞いてくる、体格の良い男に対し、真剣な眼差しで言う。


「俺は、皆に勇気や希望を伝えたくてこの職に着いたが……気付いたんだ、結局は一方しか観てなかったことに……」

「……? 」

 突然の言葉……前半は理解出来た、ただ、後半は全く意味がわからなかった。


「これは、女性への俺なりの答えの唄だ」


「答え? 」

やはり、意味が分からない。

「こっちの話だよ……」

苦笑いしながら、話を終わらせる。

『これを、皆に伝えよう。』惑わすかもしれない、それでも自分で見つける希望こそ本当の希望なんだ。

その覚悟のともしびを瞳に宿して細身な男は告げる。


第三章 名も無き少女の物語(完)


ーーーーーーー


第四章は、まだ少し間をあげて投稿しますm(_ _)m

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