第三章

第三章 名も無き少女の物語 1

そして、現在ーーー

場面は、白が一房交じった茶髪の女性と2日前に助けられた、二人の男性の風景へ。


「これが、彼と私達の旅の序章です」

それまで、女性はどこか悲しげでそれでいて、誇らしげに語っていた。

「その後、どうなりましたか? 」


「盗賊から助け出した五人は近くの村に送り、私達の村の事を聞き故郷を目指して旅立ちました──」

『止められたのですが、強行したのです』とイタズラがバレた子供の様に女性は笑う。

懐かしむように、目を瞑り。

「そして、数ヶ月の旅の中で最初にサキちゃんの故郷のムライ村に着きました」


そこに、体格の良い男性が疑問を口にした。

「こちらでは、村の名前を一緒に言うんですね? 」

「私達は、何処の村の者かも一緒に言うんです」

初めて、子供達の家名が実は……村名であったことを理解する男性達。


「話のコシを折ってしまい申し訳ありません。良ければ続きを聞かせてください」

謝罪と続きの催促をしてくる長身細身な男性に対して… 女性は、一瞬悲しそうな表情をして。

「……夜も深くなってきましたし、明日の朝には……私の村に着きます。早く休みましょう。

それに、今日は語りすぎました。

続きは次の機会にしましょうね。

今日も、私が寝ずの番をします」

と言って話を切り上げ2人を眠りに誘う。



                続く

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