第二章 逃走の物語 4


四人が会話で親睦を深めている頃、ロキは一団を木の陰から眺めていた。


(あれは、敵か?無害か? )

今のロキにとっては、あの四人に危険がいかないように……そして、無事に送る責任を感じている。


だからこそ、一団について必要以上に警戒している姿がそこにあった。


(もう少し、近くで、見てみるか? )

思いながら、隠れるように移動を開始する。


(見張りは……二人か。正確な人数はわからないが、あの帆馬車の大きさから、大人三~四人位か?)


(……!……なんだ? )


「くぁー……もうすぐ……朝だな」


「眠いのは俺も同じなんだから、欠伸するなよ」


「わりぃ。ん!」

見張りの一人が何かを感じとったようだ。


(ヤバい、気づかれたか? )

不意に、近くの茂みから一匹のウサギが飛び出した。

「なんだ、ウサギか」

そう言って、意識を仲間の方に戻す。


「これ、連れての移動は大変だな」


「確かにな。ちょっと、味見でもするか? 」

『やめとけ、殺されるぞ』と言う眼帯の見張りにガハハと笑いながら、『冗談だよ』とスキンヘッドが言う。


(あの中にも、捕まった人が入っているのか? )

見張り二人の会話からロキが疑問に思いながら、もう少し近づこうとした時。


「くぁー……もう朝か? 」

1人の男が出てきた。

「「カシラ、おはようございます! 」」

2人揃って頭を下げて、挨拶をする。

「おう、おはようさん」


それは恰幅の良い大男の姿だった……。



                続く

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