第二章 

第二章 逃走の物語 1


何処まで逃げたのか、息を荒げる声が響く。


「な……なん……とか……逃げきれたか……」

ハァハァと息をきらしながら、黒髪の少年はそう告げる。

だか、皆からの返事は、返ってこない



「これから……どうするつもりだよ?」

息が整ってきたのか赤髪の少年が、質問してきた。


「あー、逃げるのに必死で考えて無かったな」

苦笑しながら、答える黒髪の少年。



「とりあえず、自己紹介でもするか?」

皆、お互いの名前とかをまだ知らない事に気付いたように、顔を見合わせた。


苦笑しながら、黒髪の少年から順番に

「始めに、俺の名前は『ロキ・クルス』年は12だ、よろしくな!」

言いながら、右手を差し出す。


「次、俺の番だな。俺の名前は『ライ・トルク』8歳だ。こちらこそよろしく頼む」

赤髪の少年は答えながら、その手を掴む。


「私は、『ミツキ・ナガノ』ロキ君と同じ12歳です。皆よろしくね!」

茶髪の少女が名乗りながら、右手を覆い被せるように乗せる。


赤髪の髪の少女が次に、名乗る事になった。

「私は、『サキ・ムライ』です。えっと、あの、よろしくお願いします」(ペコリ)

「年齢はライ君と同じ位なの?」

小首を傾げながら、ミツキが尋ねる。

「はい、7歳です」


最後に残ったもう一人の白銀髪の少女が

「えっと、えっと……ボクの…名前は……『リーネ・キツキ』……です。7歳……です。その……よろしく……お願い……します」

と、おそるおそる、答えるのだった。

「リーネちゃん、怖がらなくて大丈夫、皆無事だから……ね」

と、ミツキが優しく抱きしめながら、告げる。



皆が自己紹介を終わらせた頃。

「とりあえず、東を目指すか」

「何でだよ?」

「でも、方角なんてわからないよ?」

ライの疑問そしてミツキの返答にサキとリーネが頷く。


「大丈夫だ、星位置を確認すれば、だいたいの方角はわかる」

心配いらないと言わんばかりに、 頷きながらそう答える。 続けて、

「それに、俺たちが逃げてきた方角が多分西だから、距離をとる為にも東に進んだ方が良いと思う」


「そう言うことかよ。だけど、何でそんなこと知ってるんだ?」

ライは、理解しながら最もな疑問をぶつけてきた。



「俺の親が鍛冶師なのは、話したよな?」

「あぁ、聞いた」

それが、今関係あるのか?と、目が語っている。


「山や森でも、遭難した時の為にいろいろさせられたり、教えられたんだよ。」

気落ちしながら、『まさか本当になるとは思わなかったけどな』と、小さい声で続ける。


「東に向かいながら、水のある場所を探そう」

そう言って歩き出す。



それから、休憩をはさみ丸1日位歩いた頃。


「あ!……やった……水だ……」

子供の体で歩き続け、ロキの知識に頼りながら、食料を確保していても。

皆疲れ果ててた頃に、川が在るのを発見した。


「これで……14日位は……もちそう……だな」

掠れた声で、告げる。


「そう…なの?」

聞き返すミツキに答えず、皆で水を飲んで一息入れる事になった。


「さっき、ミツキ姉ちゃんが聞いてたこと、本当なのか?」



「わりぃミツキ、さっきは答えられなくて」

ミツキに謝りながら、続ける。

「こんな森の中でも汗はかくだろう、水分はどうしたって取らなくちゃならない」


食べるだけでも、喉は渇く一方だしな。と、付け加える。


「ふーん」

「そうだったんだ」

「「へぇ…」」


会話がなくなって、沈黙が続くなか、

「あの……これから……どうする……の?」

リーネが尋ねてくる。



ロキは、しばし考えながら、

「皆は、どうしたい?」

数瞬の沈黙の中。始めに口を開いたのは。

「私は、お父さんとお母さんに会いたい」

「俺も……」

「ボクも……会い……たい」

三人は、泣きそうな声で答える中。

「私は親が居ないがら、皆から先に送ってあげよう」

ミツキが告げ、また沈黙が続く。


「なら、近い順に村を探そうな」

方針は、決まり進み始めるのであった。



               続く

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