ホラー映画とシスコンと変態
「ホラー映画を見ましょう」
「突然だな。ゆう」
朝食を食べ終わった後しばらくまったりしていた。
そろそろ秋に差し掛かってくる時期なので少し暑さが和らいだ。そのため日の入る窓の近くに座っているとポカポカと温かいのだ。
それに加えてゆうと肩を寄せ合っていると心も暖かくなるから一石二鳥。最高だ。
「私ホラーは大丈夫なんです」
「張り合うつもりは無いが俺もだな」
「じゃあ一番怖そうなにしましょう」
「分かった」
ゆうはウキウキとした様子でネトフリの画面を操作する。
「これにしましょう!」
選んだのはリングだった。俺はホラーは大丈夫だが積極的に見たいとは思わない。なのであらすじもざっくりとしか知らない。
確かテレビの中から人が出てくるんだっけ。
「じゃあいきますよ」
明るい中見るのはもったいないのでカーテンを閉めておいた。
「良いぞ」
「まだまだ怖くないですね」
そりゃ序盤だからな。
「ま、まだ怖くないです」
まだ脅し程度だからな。俺は怖くないがゆうは少し怖がっているようだった。
「りゅうさん……」
ゆうが俺の腕にしがみついてくる。
終盤はやっぱ怖いな。それに日本のホラーは外国のホラーと違ってネチネチしてるから薄気味悪い。
「ぴぎゃっ!」
おお。最後は少しびっくりした。いきなり出てくんなよ。貞○さん。
「なあ。ゆうもしかして本当はホラー苦手?」
気になったので聞いてみる。めっちゃびびってたからな。
「そっそんな事無いですよ!」
ピンポン。家のチャイムが鳴った。
「ぴぎゃっ!」
「はーい」
立ち上がり玄関に行こうとすると服の裾をゆうに掴まれた。
「りゅうさん……行かないで」
「ちょっと待ってて。ご近所さんかもしれないから」
『りょっち! 助けてくれぇ!』
「ゆうやっぱホラー苦手なんだな」
結城なら良いや。どうせくだらないことだろう。
「実は……」
「じゃあなんで見ようって言ったんだ?」
「それは……りゅうさんと……」
「俺と?」
「ハグしたかったからです!」
言わせてもらおう。めっちゃ可愛いと。赤面しながら暴露するゆうはめっちゃ可愛い。これテストにでます。
「言ってくれればいつでもしたのに」
「ちょっと恥ずかしくて……」
キスすらしたのに何を恥ずかしがるのか。
俺は無言でゆうを抱きしめる。
『おーいりょっちぃ! いるんだろー!』
バンバンとドアを叩かれる。
せっかく良いところだったのに止めるとは幼馴染だとしても許さん。
「お兄ちゃんならほっといてもいいです。多分竜胆さん関連だと思いますから」
『まじで俺の貞操が危ない! 匿ってくれぇ!』
童貞卒業RTAになりそうだな。これ。
流石に幼馴染の貞操は守ってやりたい気持ちだけはある。
「ちょっと行ってくる。大丈夫そうか?」
「りゅうさん成分を補給したので大丈夫です」
「分かった」
名残惜しそうにするゆうの頭を一撫でしてから玄関に向かう。
「ゆっちゃん。近所めいわ――」
「りょっちぃぃぃ! やっと出てきてくれたぁ!」
「おまっ抱きつくなっ!」
結城みたいな筋肉ダルマに抱きつかれたい男がどこにいよう。少なくとも俺は断固として拒否したい。
「とりあえずドア閉めて鍵かけてチェーンもしてぇ!」
「わ、分かった」
結城の覇気に押され言われたとおりにする。
「良かったよぉ出てきてくれてぇ。もうちょっとで俺の初めて竜胆に奪われるとこだったよぉ」
「え、まじで?」
竜胆ってそんなに肉食だったんだ。(注ヤンデレです)
「結城様……どこに行かれたの? 私のこと嫌いになったの? あっここから結城様の匂いがする……」
カチャカチャと何かをする音が聞こえた。
がちゃっ。
「やっぱり結城様が居た……はぁはぁはぁ」
「ひぃぃぃぃぃぃ!」
「チェーンなんてかけちゃって……結城様可愛いっ」
カランと音がしてチェーンが外れた。
「さあ結城様。私たちの愛の巣に戻りましょう。そして夜になるまで(自主規制)しましょう」
「嫌だ……嫌だァァァァァ!」
竜胆が結城を連れて帰ってゆく。
「ゆっちゃん。強く生きろ」
「いいから助けてよぉぉぉぉ!」
遠くに遠ざかる結城を見て俺のゆうはまともで良かったと思った。
ちょっとしたお知らせ。
真冬は明日から学校なのです。なので更新が不定期になんてことはありません。
連投は出来ませんが一話ずつ投稿していこうと思います。
もちろん時間があったら『異世界〜』と並行してたくさん書きます。
以上です。
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