第37話 ミレーナさんに近況を伝えよう!
昨日と今日だけでとても二日間の出来事とは思えないほどの出来事があったが、一応は目的を達成して元の国に帰ってきた俺たちは、それぞれ休息することになったが、俺は一人で冒険者ギルドに来ていた。
その理由は────
「ミレーナさん、こんにちは」
「アディンさん!」
ミレーナさんと一日会えないことなんて修行をしてたりしたらよくあることだけど、それでも昨日は俺もアリアさんもシュテリドネさんも居なくて、もしかしたらミレーナさんが心配しているかもしれないということで、ミレーナさんに挨拶もとい、昨日と今日の近況を話に来た。
ミレーナさんは俺の方を見ると笑顔で俺のところに駆け寄ってきた。
「昨日はアディンさんもアリアさんもシュテリドネさんもギルドにいらっしゃらなくて、アディンさんは修行でアリアさんはアディンさんの修行に付き添っているということで納得できましたが、シュテリドネさんは毎日クエストを受けてくださっていたので、もしかしたら何かあったのではと心配になったのですが、何かご存知ですか?」
やっぱり心配してくれていたみたいだ……俺はミレーナさんに、シュテリドネさんの故国で強力な魔力反応があったから、それを俺とアリアさんとシュテリドネさんの三人で解決しにシュテリドネさんの故国に向かったこと、そしてその場でアリアさんが吹き飛ばした魔王軍幹部のエテネーラさんが居たこと、そしてエテネーラさんが本当は優しい人だったこと、ついでにセーフティーオーシャンで遊んだことなど、昨日と今日であったことを全て話した。
「なるほど、そのような事情があったのですね……あの魔王軍幹部のサキュバスが優しいだなんて、話を聞いただけでは信じ難いですが……」
「師匠もそう思ったのか、俺がエテネーラさんのことを守ろうとしたら俺が洗脳されてるって思ったみたいです」
「無理もありません、アディンさんは戦闘面では申し分ない実力を持っていますが、咄嗟の対処能力という点では、クエストに行っていない分経験が積めていなくて、まだあまりないと思いますから……それに、相手が男性を魅了することに長けたサキュバスということでしたら、きっとアリアさんは大事なアディンさんのことを弄ばれたと考えたんでしょう」
……そう聞くと、アリアさんがあの時あれだけ怒っていたのも、仕方ないことなのかもしれない。
それだけ俺のことを大事に思ってくれている……ミレーナさんのおかげでよりアリアさんのことを知ることができて、俺は嬉しかった。
「ありがとうございます、ミレーナさん!」
「私は何も……それはそうと、アディンさん」
「はい?」
ミレーナさんは俺の視線に自分の視線を合わせるために体ごと俺の方に突き出してくると、少し拗ねたような表情で言った。
「どうして私のことをセーフティーオーシャンに誘ってくださらなかったんですか?」
「……え?さ、誘うって、今日セーフティーオーシャンで送る前に手紙とか送ったとしても、ここに届くまでに何時間────」
「そうではなくて、シュテリドネさんの故国に行く段階で、もうセーフティーオーシャンに行くことは決まっていたんですよね?でしたら、その時に私のことを誘ってくださっても良かったと思います」
「……すみません、あの時は急だったので、思いつかなかったです」
「許してあげません」
「え!?」
ミレーナさんは頬を膨らませて俺から視線を逸らしている……困ったな、ミレーナさんとは仲良くしたいのに。
俺がどうすれば良いのかと悩んでいると、ミレーナさんはそのまま俺から視線を逸らしながら言った。
「独り言ですが、もし後日一緒に私と二人でお出かけなどしてくれるのであれば、機嫌は治るかもしれません」
「ミレーナさんと、出かける……わかりました、じゃあ一緒に出かけましょう」
「え、良いんですか?」
俺から視線を逸らしていたミレーナさんは、すぐに俺の方に視線を向けた。
「はい、ミレーナさんと二人でどこかに行く機会っていうのもあまりないと思うので」
「アディンさん……!そ、そういうことなら許して差し上げます!」
「良かったです」
ミレーナさんへの挨拶を終えた俺は一度宿舎に帰り、次の日……俺は今から、ミレーナさんと二人で出掛けに行こうとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます