第36話 みんなで水着を着て海で遊ぼう!

 一番最初に水着に着替え終わった俺は、他の三人が着替え終わるのをセーフティーオーシャンの前で待っていた……すると、一番最初に水着姿で出てきたのはシュテリドネさんだった。


「アディン=アルマークス君、早いな」

「俺は下を履くだけでしたから……シュテリドネさんは、結構シンプルな水色の水着なんですね、シュテリドネさんに似合ってて良いと思います」

「あぁ、これが一番動きやすそうだったからこれにした」

「なるほど……」


 動きやすそう、か。

 セーフティーオーシャンでモンスターが出る心配もなく、今から楽しもうって話なのに、シュテリドネさんらしい理由だ。

 ……普段は何かしらの服を着てるから見えないけど、その体は鍛えられているのがわかるぐらいに絞れている。

 そして、俺がシュテリドネさんのことを見ているのと同じ……下手したら俺がシュテリドネさんのことを見ている以上に細かく俺のことを見ていたシュテリドネさんが言った。


「常々修行しているのがわかる良い身体だ、十五歳でその身体なら、きっと私と同じ十八歳になる時には、もっと成長しているだろう」

「ありがとうございます……シュテリドネさんって十八歳だったんですね、もう少し年上の方だと思ってました」

「剣士を選んだ時点で淑女として生きる道は捨てたが、年齢が高く見えると言われるのは少し気に掛かるな」

「ち、違います違います、見た目は本当に綺麗ですけど、同じ十八歳のアリアさんと比べると、かなり落ち着いてるなって思って」

「そういうことならいい……そういえば、アリア=フェルステとの真剣勝負を仕損じたな」

「シュテリドネさんは、真剣勝負をしたらアリアさんに勝てると思いますか?」

「当然だ……その時は、君のことを弟子に迎え入れよう」

「え……!?」


 シュテリドネさんの発言に驚いていると、次に水着に着替え終わったのはエテネーラさんで、エテネーラさんは意外にも落ち着いた様子で言った。


「思ったんだけどさ、なんで人間って水着とか着るの?見慣れないもの見てさっきはテンション上がってたけど、普通に水着なんてなくてよくない?」


 エテネーラさんの水着は黒の水着で、最低限局部を隠していると言った感じの水着だった……その色白な肌が露出していて、少し目のやり場に困ったが、エテネーラさんはそれ以上に危ういことを言っていた。


「何言ってるんですか、水着は着ないとダメですよ」

「どうして?」

「どうしてって……外で何も着ないなんてダメに決まってるじゃないですか」

「え〜?そう?そのままの姿でも良いと思うけど……あ!ねぇアディン!今度私の領地来てよ!私と同じサキュバスの子が居て、そこならアディンのその常識も壊れて良い経験になると思うし、私が惚れ込んじゃうぐらいにはアディンって他の男と違う感じだから、きっと他の子とも仲良く────」

「そんなところにアディンくんのこと連れて行かせるわけないでしょ!」


 そんなアリアさんの声と共に、小さな炎がエテネーラさんに向かって飛ばされた……エテネーラさんはそれを避けたし、アリアさんも本気で当てるつもりではなかったと思うが、それでも当たっていたらかなり危なかっただろう。

 アリアさんの声の方を見てみると、そこには水着姿のアリアさんが居て、アリアさんはヒラヒラのついた白色の水着を着ていた。


「ていうか何その水着!?そんな水着でアディンくんの視界に映らないでくれる!?」

「はいはい、じゃあこの水着脱ぐ────」

「脱いだらまた前みたいに吹き飛ばすから」


 早速喧嘩をしている二人だったが、俺とシュテリドネさんが海で泳ぎ始めると、二人も海に入ってきて、一緒に楽しく水を掛け合ったりして遊んだ。

 ……途中までは水の掛け合いだったが、最後の方は俺に抱きついてこようとするエテネーラさんに、アリアさんが水魔法を放ったりして、とにかく危なかった────でも、久しぶりに良い息抜きになったということは断言できる。

 その後、海を出た俺たちは、四人で一緒に俺とアリアさんが元居た国に帰ることになった。

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