第33話 アリアさんはさせたくない!
「ア、アディンくん!に、人間の源ってどういうこと!?」
さっき俺がエテネーラさんのことを守るという発言をしたのに、そのエテネーラさんのことを助ける行動に対してそんなに驚くことなのかと疑問に思ったが、俺は事実をそのまま口にする。
「どうも何も、俺がエテネーラさんのことを助けたいだけです」
「ダ、ダメだよアディンくん!」
アリアさんは俺に近づいてくると、俺の肩を握ってそう言った。
「アリアさんになんて言われたとしても、俺はエテネーラさんのことを助けたいんです……俺が洗脳されてるって思うんだったら────」
「今の驚きで冷静になったけど、それは私が悪かったよ!状況証拠だけで決めつけてアディンくんが洗脳されてるって判断しちゃったけど、よく考えたら私が魔法当てたのにこんな短期間でアディンくんをこんなに意思強く自分のことを守らせるほどの魔力なんて残ってるわけないから、アディンくんは洗脳なんてされてないよ……ごめんね」
「アリアさん……」
ひとまず誤解が解けたようで良かった、が────アリアさんは「でも!」と続けて言った。
「アディンくんのに、人間の源……を!そのサキュバスにあげるのは絶対にダメ!それだけはもう本当にダメ!」
「どうしてですか?」
「どうしてって、それは……」
アリアさんは顔を赤くして言葉を詰まらせた。
すると、俺の隣に居るエテネーラさんが楽しそうに言った。
「へ〜?あのアリア=フェルステでもそんな顔するんだ〜、大丈夫大丈夫、一日だけくれたら私がちゃんとアディンに教え込んどいてあげるから」
「ダ、ダメに決まってるでしょ!」
「え〜?でもきっと、私とした方がアディンも幸せになると思うよ?サキュバスはそれが基本として体が作られてるんだから……まぁ、そうなったらもう人間じゃ満足できなくなるかもしれないけどね」
「人は人とするようにできてるの!」
「じゃあ私はアディンとするようにできてるから」
二人が何を言い合っているのかよくわからないけど、ひとまずはさっきの戦う感じの雰囲気から会話する流れになって一安心だ。
「この……言葉通り、今すぐにでも燃やしたい」
と思った矢先に、アリアさんから物騒な言葉が出た……だが、こういう時に落ち着いてアリアさんのことを落ち着かせられるのはシュテリドネさんだ。
俺がすぐそこから俺たちのことを黙って見ているシュテリドネさんのことを呼ぼうかどうか悩んでいると、アリアさんが叫んで言った。
「ていうか!シュテリドネも黙って見てないで何か言ってよ!」
おそらくアリアさんは俺とは違う意図だと思うが、それでもシュテリドネさんに話を振ってくれたなら好都合だ。
あとはどうにかアリアさんのことを落ち着かせてくれるのを期待────
「私は、そういった話は専門外だ」
え……!?
「はぁ!?こんな大事に何言ってるの!?」
「そのままの意味だ」
「もう〜!」
「アディンの周りってそっち関係弱いんだ……魔力か人間の源を取らないと生きていけないっていう口実もあるから、アディンと重なれる時もそう遠くないかもね……早く身も心も一つに────」
「エテネーラさん……?」
「なんでもないよ」
一瞬口角を上げていたような気がするが、おそらく気のせいだろう。
「それよりアディン、早く二人きりになれるところ行こ?そろそろ魔力か人間の源もらわないと倒れちゃいそう〜」
「わかりました、早く────」
「それだけは絶対ダメだから!どんな事情があってアディンくんがそのサキュバスのこと助けたいって思ってるのか知らないけど、それなら魔力あげるだけにして!アディンくんの魔力がそのサキュバスの体内に入るってだけで嫌だけど、人間の源よりはマシだから!」
アリアさんは大声でそう言うと、エテネーラさんは一度ため息をついてから言った。
「じゃあそれでも良いから、とりあえずアディン、二人になれるところに────」
「させないって言ってるでしょ!」
その後またもアリアさんとエテネーラさんは言い合いをして、その結果ひとまず俺の魔力をエテネーラさんにあげて場は落ち着いた。
そして、アリアさんやシュテリドネさんにエテネーラさんについての話を聞いてもらうということで、ひとまず四人で一緒にご飯を食べに行くことになった。
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