美人で可愛いSランク冒険者の弟子になった俺、俺のことを大好きで過保護な師匠が俺を好き過ぎてクエストに行かせてくれない!〜俺は早く強くなりたいのに師匠は俺とイチャイチャしたいらしい〜
神月
第1話 俺はクエストに行きたい!
「アリアさん、お願いします……そろそろ俺にもクエストの一つぐらい受けさせてください!この際スライム討伐とかでもいいです!」
────俺、アディン=アルマークス十五歳は、全力を持って俺の師匠であるアリア=フェルステさんのことを説得していた。
「ダメだってば!アディンくんにはこの一年色々なこと教えてあげたけど、まだまだクエストに出させてあげるほどの強さじゃないの!」
説得内容は、とりあえず何でも良いから冒険者ギルドの発注しているクエストを、冒険者として受けさせてほしいということ。
そもそものアリアさんとの出会いは、一年前強くなりたいからと夢中になりすぎて餓死寸前になるまで訓練をしていた俺の元にたまたまアリアさんが来て、それから剣術と魔法を優しく丁寧に教えてくれて、今では俺の師匠となっているという流れだ。
アリアさんはとても綺麗な容姿をしていて、特徴的なのはその整った顔立ちと青の目、そして艶のある白髪だろう。
年齢は俺と三つしか変わらない十八歳らしい。
それでいて修行の時は非難のしようが無い程にわかりやすく丁寧に教えてくれて、怒られたことは一度も無かった……ここまで聞けばアリアさんは立派な師匠で、そんな人に拾われた俺は幸せ者、というだけの話で終わる。
が、ことはそう単純では無かった。
「アリアさんは修行の度に俺のことを強くなってるって褒めてくれてるじゃ無いですか!それなのにどうしてスライム討伐にすら行かせてくれないんですか?」
そう、アリアさんは、俺が強くなったらしっかりと「強くなったね、頑張ったね、今日はもういっぱい強くなったから、ゆっくり休んでね」と褒めて休ませてくれるのに、いざその力を振るうためにクエストに行こうとしたら……
「まだ一年しか修行してないんだから!スライム討伐に出るにしてもあと半年、ううん、あと一年は必要だよ!」
という感じで、アリアさんは俺のことをクエストに出させてくれない。
例えば、俺が最強のドラゴンを倒しに行くと言って、それをアリアさんが引きとめるといった正当な評価のもとでクエストに行かせてくれないなら俺だってわかる。
でも……自惚れているわけじゃないけど、スライムぐらいなら絶対に倒せる自信がある。
何故なら、スライムは物理攻撃で倒すのは平均的な成人男性並みの腕力が必要とされているが、簡単にでも魔法を使えるのであれば五歳ほどの子供でも倒せると言われているからだ。
なのに、アリアさんは過保護すぎる。
「もしかしたらスライムが魔王よりも強いスライムかもしれないからね、そういうことも考慮して、アディンくんはもっとゆっくり、こうして私と二人だけの時間を大事にしていこ?ね?」
そう言って優しく微笑みかけてくるアリアさん……当然、アリアさんとの時間も俺は大事にしたいと思っている。
でも、それ以上に俺は早く強くならないといけない。
強くなって……小さな時にした約束を果たす。
だから……
「アリアさん、俺と模擬戦してください」
「……え?」
その申し出に、アリアさんは目を見開いて驚いた。
無理もない反応だ、俺は今剣術や魔法を教えてもらっている立場、つまり教わるほど力量さがあるのにも関わらず、模擬戦を申し出てきたということだ。
驚かない方が難しいだろう。
困惑した様子のアリアさんは、俺の様子を窺うようにして聞いてきた。
「えっと……それは、修行の一貫でってこと?」
その問いに、俺は首を横に振って答える。
「違います……俺が一撃でもアリアさんに当てることができたら、俺がスライム討伐に行くことを認めてほしいんです、それでスライムに勝てたら、その一つ上のクエストに行くことも認めてもらいます」
「一撃……?……私に?」
アリアさんは、完全にそんなことできるはずがないという言い方でそう言った……だがそれはアリアさんが性格が悪いからとか俺のことを馬鹿にしているからというわけではなく、純粋な力量さ。
アリアさんは二年前に遭遇したという平和な国々を侵略しようとする魔王軍幹部の一人を無傷で倒しているほどの強さがあるという。
そんな人からすれば、俺なんて路傍の石ころに等しいだろう。
だから……
「その代わり、魔法じゃなくて、剣術勝負だけでお願いします」
────アリアさんは剣術も魔法も強いが、Sランク冒険者と言われるほどの強さがあるのは間違いなくその世界最高峰の魔力だ。
剣術だって俺に比べれば強いけど────一撃を入れるという話なら、難しいことじゃない。
「そういうことね……でも、アディンくんだけが要求するなんてずるいから、私も勝った時の要求してもいい?」
「はい、負けたらなんでもします」
「な、なんでも……?え、なんでも?」
「なんでもです」
俺がそう答えると、アリアさんの目が鋭い目つきに変わった。
そして、重みのある声で言う。
「じゃあ……剣抜いて、アディンくんから来ていいよ」
「……遠慮なく」
俺はゆっくり訓練用の木剣を抜いて、それを構える。
そして、地を蹴るとアリアさんの方に駆け出し、剣を振るった。
「……」
「っ……」
アリアさんは何事もなかったように躱した……それと同時に「ん?」と言って、続けて剣を振る俺の攻撃を全て避けながら言った。
「ねぇねぇ、この勝負って、私何したら勝ちになるの?」
「俺のことを気絶させたら、です!」
一連の動作の最後に、俺は一度蹴りを入れるフェイントをしてから剣を振るったが、アリアさんにはバレていたようで、全て躱されてしまった。
……アリアさんが強いのは知っていたけど、アリアさんはいつになく本気だ、こんなに体術もすごかったなんて。
どうしてそんなにやる気になってくれてるのかはわからないけど、本気のアリアさんと戦える機会なんてそうそうない。
今度は剣を振るのではなく、突くイメージでアリアさんに攻撃を連続で繰り出すことにした。
「やっぱり、すごい成長速度……」
アリアさんは何かを呟いたが、体を全力で動かしている俺には聞こえないほど小さな声だった。
そして、さらに剣を突く速度を加速させる。
だが、アリアさんはそれらも全て躱しながら言う。
「って、待って?気絶?私、アディンくんのこと気絶させないといけないの?それは可哀想で私できないから、私がアディンくんの攻撃を五分間躱し続けたらとかにしない?」
「俺はそれだけ本気なんです、だからアリアさんも本気でやってください!」
俺がそう言うと、アリアさんは観念したように目を閉じて言った。
「え〜!でも……わかったよ、できるだけ痛くないようにするけど、痛かったらごめんね……ちゃんと後で痛かったところなでなでしてあげるから」
「そんな簡単に────」
そんな簡単に負けない、そう言おうとした直後……俺の視界は暗転して、意識を手放してしまった。
何をされたのかは全くわからなかったけど、ルール通り魔法の気配は感じなかったし、アリアさんの言っていた通り、痛みは全く感じなかった。
「痛くなかったかな……でも、なんでもしてくれるって言われたら負けられないよね……これでようやく、ようやく……!」
次に目を覚ましたのは、ふかふかの白いベッドの上で────俺の隣には、アリアさんが寝ていた。
……俺はアリアさんに模擬戦で負けてしまった。
負けたらなんでもすると言った俺に、アリアさんはどんな要求をしてくるんだろうか。
◇
甘々で激重な大物美少女たちが、俺を養いたいと言いながら過激に迫ってくる件────という最新作を公開させていただきました!
ご興味をお持ちいただけた方は、そちらの物語も併せてお読みいただけると幸いです!
↓作品URL
https://kakuyomu.jp/works/16818093089472865717/episodes/16818093089472888773
◇
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