甘々で激重な大物美少女たちが、俺を養いたいと言いながら過激に迫ってくる件

神月

第1話 陽瀬あかり

 突然だが、俺には大物ということに加えていわゆる美少女と呼ばれる知り合いが四人いる。


「あ!空風そらかぜ!おは————」


 俺、空風そらかぜりつが自らの席に着いた直後。

 席を立って俺に挨拶をしようとして来た……が。


「うわっ!!」


 挨拶の代わりに俺の顔を見て悲鳴を上げたのが、俺と同じ高校で同じクラス。

 そして隣の席でもある、四人の大物な美少女の知り合いのうちの一人、陽瀬ひなせあかりだ。

 陽瀬は、綺麗な金髪ロングの綺麗な巻き髪に、着崩した制服を着こなしその抜群のスタイルを覗かせているいかにも今風な女子高生だ。

 可愛らしい髪留めや耳にピアスをしていることからファッション意識がかなり高いことが窺え、そのファッション意識の高さを表すように本人はモデルとして活躍している。

 加えて、明るい性格も相まって、クラスの中心人物にもなっている。


「人の顔を見て、第一声悲鳴を上げるなんて失礼だと思わないのか?」

「いや!そんな青白い顔見たら声上げるに決まってんじゃん!最初なんかのメイクかと思ったし!」

「メイクはしたことがない」

「マジレス良いから!……空風の疲れた顔は、二年連続同じクラスで席も隣になったから見慣れたつもりだったけど」


 続けて、俺の顔を覗き込むようにして。


「今日は最近の中でも特に酷い顔してて、せっかくのカッコいい顔が台無しになってるよ?」

「最近は特にバイトの方が大変でな……というか、前から時々俺のことをカッコいいと言うが、それは何かツッコミを入れた方が良いやつなのか?」

「は、はぁ!?違うし!本気————って言うと何か別の意味になっちゃいそうだけど……本気でカッコいいと思って言ってる、よ」


 頬を赤く染めて、どこか恥ずかしそうに言う陽瀬。

 続けて、慌てた様子で言う。


「で、でも!それは男友達としてカッコいいって思ってるってことだから!本気って言っても、そういう意味じゃないからね!」

「そうか」

「そう!!」


 頭が疲れていて、話の流れが頭に入って来なかったが、とりあえずで相槌を打つと陽瀬は力強く言った。

 そして、俺の顔を覗き込むのをやめると。

 俺の席の前にしゃがみ込んで、机に両腕を置き、俺の顔を見上げるようにして真剣に心配している様子で言った。


「実際、こっちの方が本気の話だけど、本当に大丈夫なの?」


 先ほどまでの雰囲気とは変わって真剣な様子の陽瀬に、俺も真剣に答える。


「本当に大丈夫じゃないなら学校に来れてないから、そういう意味では大丈夫だ」

「……」


 気重そうに、陽瀬が顔を俯ける。

 俺が疲れている原因は、単純に言えば過労だ。

 両親が居ないため、日々の生活費を俺と妹の二人で稼いでいる。

 最近妹がしている仕事が良い軌道に乗り始めているらしいけど、それで俺が手を抜いて良い理由にはならないし、妹は今華の女子高生。

 できることなら、そのお金は生活費ではなく、自分の趣味や友達と遊ぶために使って欲しいと思っているため、俺はとにかくたくさん働いて稼ぐようにしているというわけだ。


「……あの、さ」


 そんな俺の事情を知っているからこそ、陽瀬は気重な雰囲気で口を開く。


「どうした?」

「自分で言うのも何なんだけど、私モデルの方でそれなりに良い感じの結果出てるの」

「そうだな」


 本屋に行った時、友達の陽瀬が雑誌の表紙を飾っているのを見つけた時のあの感覚には未だに慣れない。

 俺がそんなことを思っていると、陽瀬は顔を上げて言った。


「それで、今も結構良いマンションの一室に住んでて、二部屋ぐらいならすぐにでも空きの部屋作れそうなんだよね……だから、良かったら妹さんと一緒にうちに住まない?」


 うちに、一緒に住む……!?

 最初聞いた時、その言葉の意味を上手く飲み込めなかったが、俺はすぐに驚きの声を上げて言う。


「一緒に住むって、何を言ってるんだ!?」

「だって!もういい加減しんどそうな空風のこと見てられないじゃん!家賃とか請求しないし、本当に自分の家みたいにリラックスして過ごしてもらっても良いから!ねぇ、どう?」

「……ありがたい提案だが、そんな迷惑をかけるわけには――――」

「迷惑なんかじゃないよ!」


 大きな声で言うと、続けて陽瀬は目元を暗くして俺の目を見据えながら言う。


「私、空風のためだったら、いつでもどこでも、どんなことでもでき……ううん、してあげたいって思えるよ?」

「ひ、陽瀬?」


 様子のおかしい陽瀬に俺が困惑していると、陽瀬は机に手を置いて俺の方に身を乗り出して言う。


「ねぇ、空風は私にどんなことして欲しい?私とどんなことしたい?」

「ど、どんなこと……」


 突然のことに頭が追いつかないが、俺はひとまず陽瀬のことを落ち着けるために口を開いて言う。


「いきなり聞かれてもすぐには思いつかないから、また思いついたら……でも良いか?」


 俺がそう聞くと――――陽瀬は、いつも通りの明るい笑顔を俺に向けて言った。


「そっか!わかった!」

「……」


 今のは、おそらく俺を心配するがあまりに気持ちが強くなってしまった優しさの表れだろう。

 まさか、あそこまで心配させてしまっていたとは気付けなかったから、今後は疲れていたとしても、表面上は疲れているのを隠したほうが良いかもしれないな。

 とりあえず、陽瀬がいつも通りに戻った以上、今そのことについて考えすぎても意味は無いから、ひとまずいつも通り自然に思ったことを口にしよう。


「それはそうと、やっぱりバイトと勉強の両立はなかなか難しいな」

「わかる〜!でも、空風って勉強できる方じゃなかったっけ?」

「一応そうかも知れないが、中間テストに向けて最近は普段と比べて勉強時間を増やしてるんだ」


 今普段より疲れているのは、そのこともバイトと同じぐらい大きな原因の一つだ。


「……中間テスト?」


 陽瀬は困惑の声を漏らすと────次の瞬間。

 勢いよく立ち上がり、大きな声で叫んだ。


「そうだった!あとちょっとで中間テストじゃん!もう半月切ってるんだったっけ!?」

「そうだな」

「ど、どうしよう!完全に忘れちゃってた!!」

「……」


 正直なことを言えば、体力的に余裕があるわけではないが……仕方ない。


「学校の休み時間だけで良ければ、俺が教えよう」

「え!?わ、悪いよ!ただでさえ空風そんなにしんどそうなのに!」

「どっちにしても休み時間は勉強に当てるつもりだったから、復習になって俺としても都合が良い。それに、困ってる友達を無視する方が寝覚めも悪いしな」

「っ!ありがとう!空風!」

「っ……!?」


 俺の名前を大きな声で呼ぶと、そのまま椅子に座っている俺のことを抱きしめてきた。

 それにより、手のひらサイズ。

 なんてものを二回りも三回りも超えるほど大きな陽瀬の胸が俺の顔に当たる。


「……陽瀬、当たってるんだが」

「え?」


 俺が指摘すると————俺の顔に自らの胸が当たっていることに気が付いた陽瀬は、俺から離れると頬を赤らめて言う。


「ご、ごめん!おっぱい当たっちゃってるの気づかなかった!私の大きいし、苦しかったよね?」

「……大丈夫だ」

「そ、そう?じゃあ良かった!」


 恥ずかしさを隠すように、陽瀬は明るく微笑む。

 正直苦しい苦しくない以前に、変なことを意識しないように必死だったが、そのことはわざわざ言わなくても良いだろう。

 これが俺の、四人の大物な美少女の知り合いのうちの一人……陽瀬あかり。

 先ほどは少し様子がおかしかったみたいだが、基本的には明るくて優しい女子……だが。



 彼女……彼女の重たさの裏には、単なる優しさとは違う特別な感情があること。



 そして、その感情が重たさと共にこれからより大きくなっていくことを。



 ————この時の俺はまだ、知らない。



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ここまでお読みくださりありがとうございます!約三ヶ月ぶりの新作です!


こちらの作品は、友達や家族を大切に想っている主人公と、そんな主人公を養いたいと願い、病むほどの愛を持ちに関係の進展を測ろうとするヒロインたちのお話となります!


この第一話を読んだ段階での、あなたのこの作品に対する評価や期待値などを教えていただきたいので、積極的に素直な評価をしていただけると幸いです!


その中で、もしこの作品を楽しみだと思ってくださった方が居れば、この作品を応援すると思っていいねや☆、コメントなどをしていただけると本当に嬉しいです!


毎日18時25分に最新話更新させていただくので、今日からよろしくお願いします!

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