【カット分】一方その頃…④

※スアクの章05の核心を突く場面です。

 おい、そこ書いちゃうのかよ!という感じではあるので、先に05をお読みの上、読みたい方のみお読みください。

 本編とは異なり、オーン視点です。



「簡単なことよ?アナンタちゃんのことが……好きかどうかを教えて欲しいだけ」

「はぁ?なんでそんなことを」

「私はね。恋の話が好きなのよ」

「うっわ」


 まさかの脳内ピンク色タイプかよ。

 だいたい年増はいつもいつも、と思っただけでスアクから鋭い視線が飛んできた。

 こわい。


「教えてくれたら、そうね。アナンタちゃんがそういう存在を知っているかどうか、を聞き出してあげるわ。どう?悪くない条件だと思うけど」

「ぐっ……」


 正直、その条件が無ければお願いしたいほどだったが。

 これは、逃げられないか。

 俺が一番イヤなパターンだ。

 逃げ道を潰されて、それを選択せざるを得ないやつ。


 しょうがない。やるしかない。

 元はと言えば、俺のせいだ。

 俺の羞恥心が犠牲になる程度、どうってことはない。

 命を失うわけじゃないんだから。


 よし、話すぞ!と意気込んで、スアクを見ると、めっちゃわくわくした表情をしていたので、急激に萎えて。

 逆にそれが良かったのかもしれない。


 俺は程々のテンションで話し始めた。


「俺は……最初こそ雑な扱いしてたけど、だんだん悪くないな、って思えてきて」


「というか、最初は彼女、かなり汚れが酷かったんだ。俺みたいに全部用意して来たわけじゃなくて、着の身着のままで何処からか逃げ出してきたのか、日々の食事もままならないぐらいで、もちろん清潔にする余裕も無かったんだろう」


「そんな状態だったから。俺は、その、中身が、その、かなり可愛い子だってのを知らずに助けることになって、初めて綺麗になった彼女を直視したとき、その、放心して」


「かなり本能を抑え込むのに苦労した。その日の夜は夢に出た。内容は伏せるぞ流石に」


「それから、まぁ、ほどほどに付き合いを始めて。堅苦しい奴だなと思ってたけど。魔法のことを話す時は年相応で、まぁ、たまに鬱陶しい時もあったけど」


「なんていうか、アレだな。同居している状態でこんな表現は変かもしれないが、隣に住んでる幼馴染と一緒に過ごしているような、そんな感覚が近いかもしれないな」


「これから、その、恋やらなんやらに発展するかは分からないが、嫌だったら同居なんてしないだ___あ゛ー!分かった分かった言うよ!言えばいいんだろ言えば!」


「アナンタのことは、好きだよ。普通に。知識欲で暴走したときは鬱陶しくて、それは勘弁してもらいたいけど、それ以外のところは概ね好きだ」


「はぁ!?もう言ったからいいだろ!?勘弁してくれよ!?」


「ぐっ……くっそ、後で覚えてろよ……」


「外見は、もう言うまでも無いよな?性格はちょっと生真面目なところもあるが、気遣いも出来るし、意外と面倒見もいい。俺と比べて断然社交性が高いし、その面で助かってることも多い。す、好きな所?……意外とノリがいい所と、え……笑顔、かな。う、うるせぇ!いいだろ別に!」


「いや、もう無理。好きな部位とかマニアックだろ。そもそもそれは俺の好みであって、アナンタは関係ないだろうが」



 その話が終わった後、俺は満身創痍でしばらく放心していた。

 最後、冷静に話をしていた気もするが、それと心労とはまた別だ。


 だから、俺はスアクが俺の部屋を出て行ったことに気付かず、我に返って、もう一度アナンタと話をしてみよう、と部屋へと向かったところ、スアクのマシンガントークに遭遇するのだった。


 いや、手伝いをしてくれとは言ったけど、誰も全部説明しろとは言ってない。


 俺の周りって暴走するやつ多くね?

 癒しはルーだけかもしれんな。




蛇足 ※テンポが悪くなるのでカットしたスアクの会話。読みたい方だけ。


オ「これから、その、恋やらなんやらに発展するかは分からないが、嫌だったら同居なんてしないだ」


ス「はっきり言わないと手伝わないわ。はっきりと、ね」


オ「………あ゛ー!分かった分かった言うよ!言えばいいんだろ言えば!」


オ「アナンタのことは、好きだよ。普通に。知識欲で暴走したときは鬱陶しくて、それは勘弁してもらいたいけど、それ以外のところは概ね好きだ」


ス「おおむね?別に彼女の胸の話はしてないでしょ?もっと具体的な話をなさいよ」


オ「はぁ!?もう言ったからいいだろ!?勘弁してくれよ!?」


ス「じゃあ手伝いの話は無しね」


オ「ぐっ……くっそ、後で覚えてろよ……」


オ「外見は、もう言うまでも無いよな?性格はちょっと生真面目なところもあるが、気遣いも出来るし、意外と面倒見もいい。俺と比べて断然社交性が高いし、その面で助かってることも多い」


ス「いや、彼女の説明じゃないそれ。そうじゃなくてオーン君がアナンタちゃんの好きな所を言うのよ」


オ「す、好きな所?……意外とノリがいい所と、え……笑顔、かな」


ス「うっわ、ベタベタね」


オ「う、うるせぇ!いいだろ別に!」


ス「で?好きな部位は?」


オ「いや、もう無理。好きな部位とかマニアックだろ。そもそもそれは俺の好みであって、アナンタは関係ないだろうが」


ス「しょうがないわねぇ。合格でいいわ」


オ「散々聞いておいて不合格だったら追い出してた」


ス「……よく冗談で不合格にしようとしなかったわ。私」


オ「お前、この状況で冗談を言う神経が分からんわ」


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