高校受験

@wd819

第1話

今から2年前の高校受験の時のことを話す。自分は当時そこそこ勉強はできていた方だと思う。当時通っていたのは公立の中学校ではあったが、学年でトップ3を取れるほどの実力は持っていた。だが、対して勉強を真面目にしていたわけではない。授業は体育の時以外は学校から配布されたiPadでゲームやYouTubeで遊んでいた。休憩中は机の上で昼寝をしていた。そして極め付けは放課後に家に帰りスマホゲームをするという日に明け暮れていた。なぜならモチベーションがなかったからだ。自分は当時地元の有名高校を目指していた。だが、いくらか勉強しても地元の有名高校の判定はDやEばかり。そんなこんなで過ごしているとクラスメイトから「神童」というあだ名をつけられた。最初は周りからちょっかいを出されたり、揶揄われたりして恥ずかしかったが、何日か経つと慣れた。そんなある日クラスメイトの笹本が話しかけてきた。彼は人見知りでいつもクラスの端っこで本を読んでいて誰とも馴れ合わないのでクラスメイトからは変な噂が立っていた。自分もそこまで仲がいいという間柄ではなかったので用件を尋ねると「次の模試で点数を勝負してほしい」ということだった。いきなり話しかけるや否や勝負事を申し込まれ少し動揺したが受諾した。そして本番自分はいつも通りに時進めてた。1ヶ月後廊下に順位が張り出されて、学年中にざわめきが起こっていた。なんだなんだと思い自分の順位を確認すると学年2位についていた。上の順位を確認すると1位に彼の名前があった。友達によると笹本は毎回模試で下位層の点数らしく、今回の模試での成績で学年全体で動揺していたらしい。教室では「カンニングだろ」「裏工作か?w」といった声がひしめき合っていた。だが、なぜだか自分には彼がそんなことをしたようには思えなかった。そして。彼はいつも通り黙々と本を読んでいた。放課後になり、彼になぜ今回1位を取れたのか秘訣を聞いた。すると半年前から塾を掛け持ちしているらしいということだった。「半年でここまで成績を上げることができるということは自分と同類ではないか」と思い、彼に対して興味が湧き、休憩中に話したり放課後に一緒に帰るくらい仲が良くなった。友達から「最近笹本と仲がいいなw。普通じゃない同士仲が良いんだなw」と冷やかしを受けたが、あまり気にはならなかった。次の模試でも勝負を挑まれたが、負けてしまいそれ以来対抗心を燃やして授業に集中するようになり、そして家で宿題や自主学習をするようになった。次第に成績が上がり、志望有名高校の判定がBやA判定を取るようになり授業態度が良くなったことで先生からの評価も上がった。そして、時は過ぎ去り、受験当日。志望校に受験を受けに行くと笹本も来ていた。お互い緊張からか会釈をする程度に挨拶は終わりすぐに別れたが、別れ際に彼が「お互い頑張ろう」という小さな声を発したのが聞こえた。それで自分は緊張をほぐして本番に挑むことができた。後日彼に会ってみると順調だったそうだ。そして合格発表当日、うずうずしながらウェブで結果を見たところ合格だった。急いで笹本に連絡を入れたところ彼も合格だったらしい。僕は嬉しさのあまり涙が出てしまった。そして春から新しい高校生活が始まった。

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