第2話 公園

家までの道には公園があった。昔からある、電灯が少ないため薄暗い公園だった。


公園には石像があった。キツネだか、タヌキだか、イヌだか、オオカミだか、よくわからない石像だった。それなりに大きく、なんとなく可愛げもあった。

石像はいくつかあった。座っていたり、伏せていたり、吠えていたり、各々が異なるポーズをしていた。顔の表情も違っていた。

公園には石像がある。だが場所はよくわからない。木が茂っていて、昼間でも薄暗い公園の中では石像たちは隠れてしまっていた。

だが、確かに石像たちは公園の中にいた。


彼女は、その公園にはオオカミの石像たちがあるのだと思っていた。




その公園の中を突っ切れば学校と家を突っ切ることができた。だから、彼女は公園の歩道がどこをどう通っているのか知っていた。

電灯がなくても携帯のライトがあれば夜でも歩けた。だって、彼女は毎日と言っていいほどその公園を通っていたのだから。

彼女はその公園に慣れていた。


その日も彼女は歩いた。日が出ている昼間にその道を通った。

彼女は気を抜いていたのかもしれない。だから、その公園の石像にこんな噂があったことを忘れていた。




『あの公園にある石像たちは、夜中になると動き回る』




その夜も彼女は公園を歩いた。家へと帰るために、公園の中の道を歩いた。

卒業式も終え、打ち上げも終わって彼女は気を抜いていた。遅い時間で、当然辺りは真っ暗な闇が広がっていた。でもいつも通りの道だと、彼女は油断した。

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