怪獣
バシッバシッと潤いのない音が鳴り響く中、僕は母親を見捨て家を出た。
3年後の今、僕は意外とすんなりこの街に馴染んでいる、小さなお友達もできた。隣の部屋の子でとても可愛い子だ、そして趣味が同じなのでいつもとっても話の熱気が高まるのだ。
その趣味とは仮面ライダーだ。
親は両方忙しいのかあまり事情は知らないがそのお友達は家にいる時が少なくよく僕と遊んでいて、集合場所はいつも公園で仮面ライダーについて熟議していた、時には教えて貰ったり教えたりしてとても楽しい僕時間だった。
最近お友達の元気がない、小さい子は機嫌なんて気分ですぐ変わるものだと思いあまりその事については聞かないでいつも通り対話をしていたけど、やはり元気がないせいか話も白熱しない。
だから話を聞いてみた。すると僕のお友達が言った。
「僕、お母さんにいじめられてるの」
その言葉を聞いた途端、体中に鳥肌が立ちなにかを思いだしたように僕は言った。
「この人形と一緒に逃げて」
その人形、フィギュアは僕のお気に入りの人形で手放したくないはずなのにこの子だけには必要だと思った。
次の日、小さなお友達は公園にこなかった。
「私の子供をどこへやった...」
小さなお友達の母親が僕に居場所を聞いてきた。よくよく考えると疑われるのは当たり前のことだった。僕は何度も何度もしつこく聞かれたが引くに引けなかったので知らないの一点張りをした、しばらくすると諦めたのか母親は帰っていった。
その帰っていく姿はとても野生的なもので
「見つけてやる...見つけてやる...」
とブツブツ言っていた。
何年経っただろうか、僕はとても後悔していた。
あの歳の子を逃げさした所ですぐあの母親に捕まってこれまでより酷いことをされている、もしかしたら殺されているかもしれないと考えたりもした。
僕は生きているうちにこの後悔を晴らすことは出来ないんだろう、心の中で悟りながら日々を過ごしていたた。
また新しい友達ができた。
その子はちょっと珍しい子で仮面ライダーにでてくる怪獣が好きな子だった、まあ何となく気持ちも分からないことはないがやはり子供は正義の味方に憧れるものなのに凄い面白い子だなと思った。
いつも通りの変わらない日常が急に壊れた日。僕は新しいお友達からデジャヴを感じていた。
僕はここで後悔を晴らすことができるのでは無いかと思った、とりあえず母親と父親を問い詰めよう。
罪を認めるまで僕が追い詰めるんだ。
僕は作戦をたてた。まず小さなお友達を家に1人で帰ってもらってから僕はそこを監視する、何か危険が起きたら突入して認めさせるのだ。
作戦開始、まずは順調に小さなお友達は家に1人で帰る事ができて僕が監視する体制に入ることが出来た。
すぐに母親が僕の友達を叩いた。ただいまっていっただけなのに叩いた。
僕は自分も同じようなことをされていた事を思い出して体が動かなくなった。
また叩かれる。乾いた音が響き渡る。
僕は後悔したくない。後悔したくない。雄叫びと共に体が動き出す。
実はあまり記憶がないが気がついた時には目の前に赤い液体だらけの男女がぐっすりと寝ていた。
とりあえずお友達を安全な所へ移動させてあげないといけないので車に乗せて森へ走って人気が無い小屋で隠れることにした。
ここなら少しの時間は誰も来ることがないだろう。
安心したせいか体から力が抜けた。
しかし1時間もしないうちにこの作戦が終わる音がしてきたが、僕は逃げることはしなかった。
それは本来の目的に沿わないからだ。
警察官が僕の小さな友達をさらっていた。
彼は大好きな怪獣の僕と友達になってくれたが正義のヒーローを最終的に選ぶことができたんだ。
深い眠りにつく彼に警察官は優しく声をかけた。
「君を守ってあげる」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます