第29話

ようやく川へたどり着いた。

「じゃあここで、採れるだけ採ろう」

そういえばなぜこの人とここに来たのだろう。

疑問とともに、それでもこれを沢山持っていけば喜んでもらえる。とそのことばかり胸に詰めて目に映る魚を片っ端から採る。


10匹を超えたあたりからふと、魚ばかりでもな、と思い立ち尽くす。

「いっぱい採れたね。持って帰るならこれ、つかいなよ」

そう言って手編みの籠を渡される。

「これは?」

「籠だよ。その中に魚を入れて持って帰るんだ。今作ったばかりの籠だから耐久性もバッチリだよ」

次から次に頼まれてもないことをするこの人間に不信感を抱きつつもそれでもそのまま受け取る。

「ありがとう。使うこれ」

思ったよりカタコトで感謝を告げ籠へと魚をぶち込む。

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大きな星の歩き方 一条 遼 @DAIFK

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