第28話

知らない人にいつも採らないものの取り方を教わることになった。


「あっちの方にかなり魚がよく採れる川があってね、ちょっと遠いかもだけど行ってみるかい?」

祝いの時、であれば多めにとっても文句や不満はないだろう、むしろ多く取れるならばそれに越したことはない。

「わかった、行く」

「そっか、じゃあ着いてきて」

そうして男は無言になってさっさと歩き出した。

それに合わせてミラもついて行く。

「いつもひとりで暮らしてるの?」

しばらく歩いてそんなことをふと聞かれた。

「いや、家族がいる父と母がいる」

「ふーん、それだけ?」

「あと、カナとルナとタカ、私とミア」

「そっかそっか、7人家族なんだね、大所帯じゃないか」

「そう、いっぱいいる」

「じゃあいっぱい採らないとだね」

「まだ?川」

「そう焦らずに、ね?魚は逃げるけど川からはいなくならないよ」

そうやって黙ったり話したりを繰り返して歩けど歩けどなかなかつかない。

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