第23話
人に何かを教える難しさ、一向に分かりやしないのに無理やり納得したように説明することの大変さ。
やはり思う、完璧は無いのだと。
「とにかく、今命を奪ったクマに感謝の意を」
そう言って正座をする。
「うん」
見様見真似でミラも同じことする。
ツネは学ぶ、口以外、行動を以て示すことも出来るのだと。
手を合わせて目を瞑る。
「私たちの明日のために、あなたの明日を奪いました。身勝手をお許しください、あなたを私たちは余さずこの身に変え明日を生きながらえさせていただきます。」
「ます。」
最後の一言だけ、真似られた。
「よし、とりあえずこの熊を持って帰ろうかね」
ポンポンと頭に手を乗せて笑ってみせる。
ガタガタの答えを示して、不安にさせて、それでも着いてきてくれることへの感謝。
「あったかい」
人の温もりに初めて触れた、それが何より嬉しかった。
ああ、この感情は間違っていない。
そう思って帰路へ着く。
「………そういえばクマ、どうやって運ぶ?」
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