第20話

初めて褒められた、初めて認められた、喜ばれた。

そんな嬉しい感情の初めてを一度に食らうとそれまでそれを知らなかったらどうなるか。

オーバーフロー待ったナシ。

「今なら何をやっても喜んでもらえる?もっといいものにしたら褒めてもらえる?もっと役に立てれば認められる?じゃあ、それをしよう。」

ありがた迷惑という言葉を知らなければ自分の行動に善行という言葉をつけてなんでもやるのが特徴。

「今、何か欲しいものはある?何をしたら喜ぶ?」

「急に言われてもな、今は家も建ったし取り急ぎなにか…あー、ご飯?とかかな」

「そうさね、もういい日の暮れどきだから飯の時間だ、こんな時だからちょっと豪華なものは嬉しいね」

「ご飯…?何食べるの?あと豪華って何?」

「色々だよ。鹿とかイノシシとか米とか植物とか」

「あんた…それはざっくりしすぎじゃないかい?特に後半はもうなんでも食うことになるじゃないか」

「確かに、説明が難しいんだよ、食べられるものとそうじゃないものがあったり好き嫌いとかあるからね」

「それを全部説明してたら日が暮れちまうね。どれ、一緒に行こうか」

「わかった。一緒に行く」

「じゃあ僕はここで子供たちと待ってるから二人で行っておいで」

「??食べ物を捕りに行くのはルイの仕事じゃないの?」

「いや特にそう決まってる訳じゃないけれど。ああ、もしかして性別でする事が違うっていうことを知っているのかな」

「ルイと同じモノはみんな捕りに行く役目だと学んだ。特に動いているやつを」

「モノって…性別っていうんだよこれをね、僕が男性ツネが女性と分けられているんだけど、いつ誰が決めたのかは知らなくてね」

「そういえばそんなこと考えたこともなかったね。親からこういうもんだと教わったっきりだから。ミラが見て、学んだものがそうかもしれないけどウチは違ってね、私がその役目なんだよ。何せ私の方がコイツより腕っ節が良くてね」

「そうなんだよ、だから他の仕事を僕がやる、そっちの方が向いててね。こういうのを適材適所っていうらしくてね。まあ、詳しくは分からないけれど色々あるってことだけ覚えていてくれれば嬉しいな」

「嬉しい?決めつけないで色々って思うだけでツネもルイも嬉しい?」

「うん、そうだよ。だからそれでもいいかい?」

「もちろん、2人が嬉しいなら私も嬉しい」

フンフンと鼻息を荒く胸の前でガッツポーズのようなものをして喜びを表現する。



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