第14話
ミアが戻ってきて2人になったうちのミアがミラになった。
「新しく始めよう!とは言ったものの、さすがにここじゃあ色々嫌だよね」
笑みを浮かべてはいるものの笑いきれない父がポソッとつぶやく。
のほほんとしてしまったが辺りに広がるは壊れ傷ついた集落だったもの、と塵に還らなかった人達の死体、そして人から溢れ出た無数の血溜まりだの、血痕だのと、随分生臭い。
「でもせめて、ここで暮らしていた人たちは安らかに眠れるように、ね」
母がそのままテキパキ死体をその集落の真ん中に並べていた。
「私、あとはやりますよ」
すっかり自分の役目のようになった命あったものを星に還すという行い、本来はそれを目的として、それを当たり前の行いとしてはいないもののたった数
回でいつの間にか自分に与えられた使命かのように感じていた。
「いいのよ、あ、いや、本当はそうした方がいいのかもしれないけれどね。ずっとここで一緒に暮らしてきた仲間だから、さ。星よりもここで眠るのが1番なんだ」
無理やり笑っているようにも我慢をしているようにも思えないほど綺麗な笑顔だった。
「ワタシ手伝う」
カナが真っ先に名乗りを上げた。
「あ、アタシも」
次いでルナ。
「ミアもやる!」
「うん、ありがとう、タカもミラも手伝っておくれ」
「……」
タカはあまり喋らず、黙々と木の枝を集め始めていた。
「私は、何をしたら…」
この子達なら考えて、自分から動いたのだろうか、けれどミラには何をすればいいのか、どうしたらいいのか、それらが分からなかった。
「そうしたら、火を起こしておくれ」
そう言って母はポケットから鉄の棒と鉄の小さな板を出して見せた。
「…?」
「これでね、タカが集めてくれてる小さな枝の近くでこの棒をこの板みたいなので思い切り擦るんだよ。」
シュッ、シュッといい音が響く。
「今ピカっと光ったやつが出ただろう?これがヒバナって言うんだけど、要はこれが火の元になるんだ、私たちはそう言ってる、今の動作を火がつくまでやっておくれ」
「わ、わかった!」
戸惑いながらも受け取り、今の行動を脳でトレースしながら見様見真似で何度も行う。
「……付かない」
しばらく無心でそれをやり始めた。
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