第9話
傷だらけの父親が綺麗に完治した状態で目を覚ましたら死後の世界だと思って話しかけてきた件。
「お父さん、まだ私ら死んでないんだけど」
娘その1が冷静に告げる。
「ははっ、カナいいんだそんなこと言わなくて、お父さん大丈夫だから、だってここには家族みんないるし、あの状況で生きていられることなんてないだろ?」
「絶望的状況だったかもしれないけれど助かったのよお父さん、みんな」
「ルナ、お前まで…優しいなあ…大丈夫、みんな同じところに行けるから、いい所だから」
「話聞けよジジイ、全員生きてるって言ってんだろうが、アホか」
「母さん…娘息子たちの前でそんな…言葉が強い」
「お母さんの言う通りだよ、お父さん、話聞いて?アボ!」
「なあタカ、慣れないこと言うから噛むんだぞ、あとそんな口を悪くしてはいけない」
思いがけず家族の紹介をされている気分。
ミアは困る、どうしたらいいんだこれ、と。
「助かったみたいね、それじゃあ私は」
よし、離脱しよう、そうしよう。
我ながらいい考えだと思った
が
「ミア、どこに行くって?せっかく家族みんないるんだから離れないでくれよ」
思いがけずそんな言葉が飛んできた。
ー家族?誰が、わたしが?なぜ、わからない。
家族になった記憶は無い、この人たちから創られたこともない、では何故?
「家族…?なんの間違いですか、私に家族はいません、ひとりでに生まれてひとりでに育ち独りでそこに在り続けただけの概念ですから」
「寂しいこと言うな、もう二度と会えないと思ったんだから」
この父親とは話が合わない、なぜかたくなに娘だと、家族だと言い張るのだろう、どうして?
「だってミアだろ?私たちの娘の」
「…………?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます