第5話
宙の上で思う、なんてきもちわるいのだろう。
永いこと生き物を眺めてきたが、今まで見てきたものは感情が非常にわかりやすかった。
また、その感情の(どうして?)が目で見てわかる。
種を次に繋げるためにつがいとなり子を産み育てる、縄張りを荒らされたから怒る、生命活動のために他の生命を殺す、眠いので寝る。
「アレは、なに?」
とても単純に理解できるものではなかった、理解することがどこか怖かった。
「でも、知らなきゃ」
自分が創り上げた星で、自分が生み出した生命を理解できない、ということがどこか悔しかった。
「もう1度…行こう」
大丈夫、頑張れる…!
ギュッと手を握りこんで気合を入れて、違う場所へ
先程の集落から大地ひとつ離れた場所で再び人の形へ戻る。
しかしそこで目にしたのは
「奪え!殺せ!我らが勝つぞ!」
「怯むな!進め!守れ!」
1つの集落を必死に責め落とそうとする集団と、それを懸命に守ろうとする集団が争いを行っていた。
「あっ…」
その光景をミアは知っている、見たことがある。
縄張りを奪う側と守ろうとする側、闘い勝てば得て、負ければその場を追われて。
「やめて!殺さないで!」
そう願う人ですら
「知らないよ、弱い側にいるのが悪い」
無惨に殺した。
「そんな…そこまでやらなくても」
「この場を明け渡すから、せめて命だけは!」
「やめて、もうこれ以上奪わないで!」
「ああああああああぁぁぁ!」
大地が血と悲しみで濡れる。
「ヒッ!」
背後で声がした、目にいっぱいの涙を浮かべて、顔に恐怖と絶望を張りつけて、ガタガタと震える少年。
殺される、と本能が誤解したのだろうか、怯えているはずなのに、今にも泣きそうなのに、生きていたいと叫んでいるはずなのに、その少年は自ら。
「待って!話…」
命を絶った。
自分を見て命が消えた、 止められたかもしれないこと止められなかった、希望を、未来を絶った、今まで何度も何度も命を消しては生み出してきたはずなのに、目の前で…。
「どう、して?」
出来事は深くミアを抉った。
「どうして逃げなかったの、どうして話を聞いてくれなかったの、どうして死んでしまったの、どうして止められなかったの、どうして…?どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして」
その時ミアは、絶望という感情を知った、悲しみを知った。
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