第2話

星を幾度も創造と破壊を繰り返し続けた創造主が目を覚ました頃、星は滅びることなく存続していた。

「……ん〜………」

くぁぁぁ…と欠伸をして、半開きの目を擦る。

「眠い……」

ぽやぽやしたまま、ふにゃふにゃしたまま目を閉じ、働かない頭をぽりぽりとかく。

「あ、星…滅びちゃったかなぁ」

上手くあかない目を開きながら眺める、今も尚蒼く輝きを続ける命の星を。

「あれれ?上手くいってるっぽい?」

永く寝た反動で上手く覗けず首を傾げる。

「せっかくだから見に行こう」

その言葉と共に強く光を放ちそのまま地上に降り注ぐ。


そうして流星となって大地を踏み締め覚醒する。

「うん、上手くいった」

とある小さな島国に。

「でもここどこだろう、場所に名前とかつけてないからわかんないや」

当たりを見回しても山々が連なりそれ以外は青い空しか見ることが出来ない。

「…ぁ………」

声がした、かすれて今にも消えそうな。

その方角へ走り出す、もっともと言うには実体を持たないため違うのだが、それでも駆け寄る、或いは移動する。

「大丈夫?どうしてこんなところで倒れているの?」

そうして見つけた、山の中で倒れ込む1人の少女

「……?」

実体がない概念に話しかけられて言葉は出ず。

「私はここにいるよ」

再度声をかけたもののやはり何も無く、それどころか少女の命は刻一刻と終わろうとしていた

「誰かは分かりませんが貴方はここで終わりです、瞬きのような命をここで終わらせるのです」

そこに救いはなく、慈悲はなく、ただ事実を告げる。

個別の命に不干渉でなければならない、との誓約。

肩入れも救済も私的な創世と破壊は許されない。

それをできるのは生命を丸ごと消し去る時のみ。

「そう…なんですね」

随分諦めがいい命だな、と思う。

けれど蔑まず、ただ包み込む。

「暗い場所には送りません、ただ、安らかに」

命を星に返す、そうして初めて触れた生命を型どり人の体をもって受肉した。

「せめてあなたの生きた証を、姿形は違えど名前を頂戴致します。」


名前は(ミア)

創造と破壊を行う名も無き概念が、その日を以て存在へと変化した。

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