大きな星の歩き方

一条 遼

第1話

大きな大きな空の上で、小さな小さな星を眺める。

蒼い命溢れる希望の星。

そんな星で闘って、争って、見るも無惨に命が散る。

「またやり直しだ」

ふぅ、と着いたため息が突風となって、竜巻となって大地をまっさらに変えていく。

なんて醜いのだろうか、なんて愚かなのだろう。

呆れて零した涙1つで再びまっさらな大地に命が芽吹く。

丸く蒼い星の果から果までも。

零れ落ちた涙は命を乗せて落ちる、落ちたそばから海が広がる、飛沫は新たな海を、と連鎖する、水に流れができる、弾けた涙は緑を創る、生物を創る、まっさらな大地に凸凹を創る、すると山になる、

そうやって新たなものを創り出す。

「今度は失敗しないといいな」

創り手に名前はなく、ただ趣味のように創世と破壊を繰り返す。

「これで何回目だったかな…まあ覚えてないからいいか」

最初は簡単なものだと思っていた、けれどそうではなかった。

動物と植物、そしてそれぞれどれかに特化したものを創る、しかしどこかの数が合わなくなり、次第に命の狩合いが多種同士で起こる。そうして最後には同族の殺し合い、果ては命の絶滅である。

「機能のバランスが…うーん」

といっても彼らに争う、というプログラムはされていない、ただ命を喰らわねば死ぬ、という生きるものが当たり前に行う行為を必然にプログラムした、その結果が上記の通り。

「じゃあ何も食べなくていいようにすればいいんだ!」

そう考え創り出した世界にはなんの面白みも無いものが広がっていた、代わり映えのしない世界。

けれど増殖は行われる。

「なんだかなぁ…これじゃないよ」

退屈も束の間、増殖に耐えられなくなった星が悲鳴を上げて砕け散った。

「そんなぁ…」

様々な結果を眺めた結論は創り上げた後に干渉をすることだった。

命にプログラムをするだけでなく星にプログラムをした。

増え過ぎた場合には災害をもって鎮めよ、と愚かさもまた同じ。

そして生命のバランスを取るように、と。

「これくらいやればとりあえずは大丈夫かな?ちょっと眠くなってきちゃった…一休みしよう」




そう言って長い永い眠りについた。
























目を覚ましたのはそれから何億年も過ぎた頃。

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