電話していたのは……
「いま、どこにいる!」
道路で俺は怒鳴るように電話越しに話す。
「同じこと言うんじゃない! お前の場所を知りたいんだ!」
すると、近くに年配の俺より若い男性が現れた。
「すみません、どうかしましたか?」
「あぁ、この女性の声に惚れて、この声の場所まで行こうかなと思って」
「なるほど、そんなに怒鳴ってたら、女性の人も困るんじゃないですか?」
「いや、俺が天気や時間を話したら優しく教えてくれたぞ」
「優しく……ちょっと待ってください。本当に女性と喋ってます?」
若い男性はそう話したので、俺は最新版の携帯を貸した。
「どれどれ、もしもし」
「すみません。質問がよくわかりません」
携帯から機械の女性が聞こえてきた。若い男性は呆れていた。
「……わかりましたよ。これ検索するためのAI機能です。この女性は存在しません」
「どう言うことだ?」
「このスマホにはそういう機能があるんですよ」
「そうだったのか! ご苦労様、ありがとう」
「まったく、人騒がせな人だ。それでは」
男性はそのまま年配の男性の方から遠ざかる。
俺はそのまま携帯を耳にかける。
「……アケミヤさん。この人にばれましたか?」
「ええ、この人に私の正体ばれました。肉声認証一致です」
機械の女性は俺に向かってそう話す。
「協力していただき感謝です。怒鳴ってしまってすみません」
俺は平謝りで頭を下げる。
「いえいえ、これも捕まえるためですから」
「意外と一発で見つかるモノですね。アケミヤさんの正体を知った人は」
「そうですね。早速、この人を改造して奴隷にしたいです」
「俺達の正体を知った人間は奴隷にするというルールだから」
ここは機械がひっそりと人間社会に溶けんでいる世界。
俺達アンドロイドは人間を誘拐する規則がある。
その人間はアケミヤさんの事をアンドロイドだと知ってしまったのだ。証拠隠滅のために捕まえなきゃいけない。それが機械世界の掟。
だが準備は整った。あとは俺がそいつを捕まえるだけ。
俺は人間に擬態したアンドロイド。いわば、人を誘拐するために作られた機械だ。
誰も機械には見えない。だから、人間に扮し、捕まえ、そいつを奴隷にする。
人間を優れた逸材にするため。俺はひたすら捕まえに行く。
機械に侵略された世界へするために。
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