第4話 商店街と宝くじとリーク。そして予想外の事態
ちょっとした聞き取りを妖精達からして通販サイトで安い室内着を一括購入。
下着も買ったせいか、検索サイトで下着の広告や女性服の広告が…
出費以上の精神的ダメージを受けながらも二度目の商店街へ。
距離としては歩ける距離でも荷物が重すぎるため、車を出して近くのコインパーキングに駐車する。
車に乗り込みはしゃぐ彼女達に危ないですよと注意しつつ車を降り、全員が出たのを確認して戸締まりをして一息。
さあて、午後の買い出しを始めますか…
「…重い。買いすぎですね」
流石に人数が増えたために再度スーパーへ買い出しに出て食材を一気に買い込んで車へと戻る。
そして肉屋と八百屋へ行って…と、肉屋で揚げたてのコロッケに妖精達が捕まった。
メンチカツコロッケに隣の八百屋とタッグのカボチャコロッケ。
「キンキンに冷やしたビールと食べたい…」
早々に敗北宣言をし、肉屋の親父さんに各20個お願いした。出来るまでの間に八百屋とその数軒隣の食器専門店で買い物を済ませ、更に車の後部座席に荷物を詰める。
…今日一日で一体いくら出費したんだろうか…
そんな事を思いながら宝くじ売り場へと足を向けた。
「…運気上昇の方、お願いできますか?」
私が妖精達にお願いすると、彼女達は私の周辺を飛びまわった後、少し離れた。
───良いのかな?
売り場のカウンターにある数字選択式のシートに同じ数字を二つと車のナンバープレート番号を二つ記入して提出する。
「同じ数字が記入されておりますが…」
「はい。これでお願いします」
お金を支払い、チケットを受け取る。
「それ、何?」
チケットを財布にしまい、妖精達に宝くじのことを説明する。
「ふーん…良く分からないけど、その試みが当たれば問題無いのね?」
「ええ。まずはこれで確認かな?と」
あとすべき事は…リーク。
かなり年代物の小型ノートパソコンを立ち上げ、フリーwifiに接続する。
そしてかなり昔に取得していた捨てアカウントのフリーメールにアクセスし、事前に作っていたテキストをコピペした上で送信。そしてフリーメールアドレスを削除。送られていなかったらそれで仕方ない。
電源を落としてリュックサックにしまって辺りを軽く見渡す。
人気はあまりなく、監視カメラも無い。
「よし。そろそろコロッケ出来上がっているかな」
「!いく!」
ふと疑問が頭をよぎったので聞いてみる。
「そういえば君達は空間移動できますか?」
「?どういうこと?」
「できたて熱々のコロッケを君達に渡したら瞬時に空間移動で家に持っていって貰って、皆で先に食べたらいいだろうなぁ、とね」
「!?おじさん天才!?」
天才という言葉安いな!
「で、どうかな?」
「出来る!と言うよりもやる!」
「量が限られているんですから半分に切って食べるようお願いするよ」
「おじさんのは?」
「別途買いますよ」
そんな話をしながら肉屋に向かう。
「できてるよ!」
私を見るなりガサッと紙袋を4つ渡してきた。
「コロッケパーティーかい?」
「まあ、そんなもんです。他国から来た子が食べたいと」
「嬉しいこと言ってくれるね!」
ご機嫌な店主に愛想笑いを返し、今思い出したような素振りで1個ずつ追加をお願い知る。
「これは自分の分です」
「自分を入れてなかったのか!」
「こんな美味しそうな物を見ていたら帰りながら食べたくなりまして」
「おう!ありがとよ!」
満面の笑みで見送られながら車へと急ぐ。
「早く早く!」
急かす妖精に苦笑しながら少し早足で車に駆け寄るとドアを開けて紙袋を入れる。
その紙袋が妖精とともに消えたのを確認し、車から離れて駐車料金を支払いに向かった。
15:47 自主党党本部
「迷惑メールか?」
葉川政務官は自身のスマートフォンに一通のメールが入っていることに気付いた。
「ご、ごのれごないす?どこかで聞いたことのあるメールアドレスだが…」
削除前に件名を見て首をかしげる。
「昨日20時前に総理が妖精とあった?意味が分からんな」
そう呟きながら削除し、スマートフォンをしまう。
「ただでさえ忙しいのに大牟田さんが良く分からない依頼してくるからなぁ…」
ため息を吐きながら届けられたデータを並べ直し、フォルダにまとめていく。
いつも通りの仕事。
いつも通りの日常。
ただ、異物が一瞬だけ入り込んだものの、すぐに消し去った。
それは数時間と経たずに大騒ぎとなる。
16:55 自宅
ついでにとスマホから宝くじオンラインサイトでキャリーオーバー時は最高6億当たるクジを買ってみる。と、チャイムが鳴った。
「酒の配達ですよ…っとぉ!?」
かなり重い音がした。
いや、今の置き方で瓶割れてないか!?
「瓶割れていたら同じ物をもってこいよ?」
「あー…スマン。ちょっと洒落にならない重さだった」
「いや、高々8本だろうが」
「その内3本は一升瓶だけどな!」
「お前な…他所様でそんな事してないだろうな?」
「してないって。今のはマジで手が滑ったんだよ」
割れていないのを確認し、また近いうちに買いに行くことを伝えた。
「何なら毎日でも良いぞ」
「そんなに飲んだら肝硬変で死ぬわ!」
そんな軽口を叩きながら扉を閉め、酒を冷蔵庫まで持っていく。
「本当に嫌な人間ね」と何故か怒っている彼女を宥めつつ、一升瓶を冷蔵庫に入れる。
「あれ?そっちは?」
「これは自分の部屋に持っていくんですよ。一升瓶は今日飲んでも良いやつです」
「飲んで良いの!?」
「今夜、ですよ!」
「むぅ~」
「午後にスーパー行った時にあの甘いワインも買い足しておきましたよ」
「やった!これで今夜も!」
「楽しそうで何より」
「おじさんって、本音でそんな事を普通に言うのよねぇ」
「君達相手に嘘を言った方が良いですか?」
「ダ・メ」
「ならそのままですよ」
苦笑しながら四合瓶5本入った箱を持って自室へと行く。
日本酒セラーに買った日本酒を詰め込み、ふとベッドの方を見る。
そこには見慣れない扉があった。
「…えー?」
部屋に入った時には無かった。日本酒をセラーに入れて気配がした方を見たらあった。
ただそれだけ。
しかし、これはとんでもない事だった。
「昨日の今日かぁ…おーい誰か来てくれませんかー?」
「なーにー?」
下から彼女が上がってきて…
「げっ!?なんで!?」
彼女からしても想定外だったのかかなり驚いて…と言うよりも引きつった顔をしていた。
「何か拙い事でも?」
「この扉の右上を見て欲しいんだけど…」
「あー…剣と盾が描かれていますね」
「この扉は、竜族の扉なの…本当は最後辺りに出てくる約束だった…」
「えっ?」
「順番としては私達妖精族、地人族、獣人族、翼人族、龍神族、竜族の順番で少しずつって…一年後くらいに竜族って決まっていたのに…」
がくりと膝をつく彼女は暫く呻いていたが、やがて立ち上がると階段から下の妖精達を呼んだ。
そして数名の妖精が部屋にやってきて…まったく同じ反応をした。
「急いで他の族長に連絡!特に龍神族!」
「わかった!」
なんだかとんでもない事になって参りました。
「おじさん!本気で洒落にならない状態なんだからね!?」
いやあ…説明してもらわないと分からないんですから…あと、慌てても状況は改善しませんよ?
「…それもそうね。一応説明するわ」
「───非常にマズイですねぇ…それこそこちら側の人間が蹂躙されそうな勢いで」
「そうよねぇ…」
事情を聞き、ため息しか出なかった。
思い込みが激しく、程々高慢で人の話を聞かない。契約を重んじるが、騙されたと判断した時は相手に対して容赦はしない。
「一番面倒だから最後にしたのよ…話を聞いてくれて竜族を抑えられる龍神族を先にした理由もそれね」
「しかし何故竜族が先走ったのか…あと、扉が何カ所に設置されたか…」
「まあ、この扉に関しては多分私達の気配を追いかけてゲートを設置しただけだと思うけど…まだ扉が開くまでには」
キィィ…
「あのぉ~」
扉が小さく開き、そこから少しおどおどした様子の女性が姿を現した。
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