第7怪談蒐集 第一高校新聞部その7
怪談蒐集 第一高校新聞部 その7『七夕の夕辺』
教室の教卓の花瓶には笹竹が飾ってあった。
花なんて咲かない竹なんて飾っても、と思ったけど明日が七夕なのを思い出した。
あれから一年もたったんだ。
あの時、飾った短冊は「あなたにまた逢えますように」だった。
七夕の夜を前にあの人は事故で亡くなってしまった。
それからずっと私はこの教室で待っている。
「え、七夕の日にだけ現れるそこに無い教室?
またベタねぇ。しかもそんなマイナーな話、どこから拾って来たのよ。
なんて新聞に載せるのよ」
私達、第一高校新聞部は高校創立当時からある伝統ある部である。
尤も、今は部員も減って実質5人しかいない零細クラブだ。
部員数は部活で部費を貰う為に縁故を頼って幽霊部員で暈増ししているけどね。
情報屋の新藤君はいつも微妙なネタを拾ってくる。
夏のホラー企画として紙面を組んでいるけれど、創作小説じゃないんだよ。
そんなネタ、ほんとどう載せるのよ。
第一に新藤君は浮遊霊でそこらじゅうからネタを拾ってくるけれど、自分がもう死んでいることに気が付かないでいる。
そしてその七夕だけ現れる教室ってのがこの私達幽霊新聞部の部室のことだと気が付がないでいる。
その待っている少女が私の事だとも。
約束通りに浴衣を着て逢いたかったな。
私はあの日からここであなたを待っているのに。
夕方、笹竹には百年に一度しか咲かないと言う花が咲いていた。
私はその花を取ったらあなたに逢いに行ける気がした。
でも私の手は笹竹をすり抜けて行った。
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