第3幕 イカロスの翼
私はすぐここが、夢の世界だと気づいた。
何故かって?
私に大きな翼が生えて、空を自由自在に飛び回っているからだった。
幼い頃にやったスーパーマリオ64というゲームでは、マリオの帽子に羽がついて飛び回ることができた。
空を羽ばたくマリオを見て、幼い私は空を自由自在に飛ぶことに憧れたことがある。
夢の世界では、空を飛ぶという夢を見る人が多いとテレビで見たことがある。
私のように翼が生えることもあれば、超能力のように宙を浮いたり、足にロケットのようなものがつけたりするなどで、空を飛ぶのだ。
空を飛ぶ夢は自由を求めてるときに見ることが多いらしい。
歳を重ねるごとに、自由に生きてくるのが難しくなってくる。
もちろん環境によっては、幼い頃から自由を求めてる人も多いと思う。
だからこそ、人々はこの夢を見ることが多いのてはないだろうか?
私も圧倒的に不自由というわけではないが、自由に飢えていた。
だから、この夢を見たんだと思う。
空はとても気持ちいい。
いつも遠くに感じてた、鳥や雲がとても近い。
自分も鳥に生まれたかったと何度思ったことだろう。
こんなふうに、自由に羽ばたけたらいいなとずっと思っていた。
もっと上へ。
私は上へ思いっきり羽ばたいた。
まるで太陽に近づけられるぐらいにずっと上へ。
眩しい。
でもとても綺麗だ。
この輝きが私を照らしてくれる。
その時だ。
何か焦げた匂いがする。
私は気づいた。
翼が燃え、溶けているのだ。
翼のコントロールができなくなり、私は下へ落ちた。
なんでこんなことに……。
俺は絶望した。
せっかくいい夢を見れたと思ったのに。
俺はあることを思い出した。
ギリシャ神話のイカロスの翼を。
イカロスは父に作ってもらった翼で空を飛んだ。
しかし、夢中に空を舞った結果、蝋でできいていた翼は太陽光で溶けてしまい、イカロスは下へ落ちてしまうとういうお話しだ。
ちなみに上空へは飛んでいけないという父の言葉をもらっていたにも関わらず、上へ羽ばたきすぎてしまったんだ。
この神話は主に人間が生み出した技術への過信を戒める物語である。
他に挙げるとしたら、人の忠告を聞かないとどうなるのか、調子に乗ってしまった結果、事がマイナスなことに進んでしまったいい例だと思った。
私も調子に乗りすぎてしまったんだ。
出る杭は打たれるという言葉があるように、たとえ夢の中でも調子に乗ってはいけないのだ。
夢の中でも調子に乗れない現状を悲しく思っていると、もう目の前が海だ。
そして私は海の底に沈んでいった。
まるでイカロスのように………。
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