戦場の負け犬
「
「いずれは選択を迫られるさ」
ああ、頭のおかしいニレンの言う通りだ。いずれ知りたくもないことを知り、生きるか死ぬかの選択を迫られる。おれは生きる方を取った、お前はどうするんだ。
「では、そろそろ本題に移るとしようか」
唐突に言うのはニレンであって、その表情はなんの期待もしていないいつものフラットな表情だ。この場を和ませるようなことも出来ない音色を聴いたおれはというと、(やだ、このヒト怖い)と動物のようにキーキーかキャンキャン悲鳴をあげそうになってしまうわけだ。
「んで、試験ってなんの試験だよ。おれが十六の時に受けた試験なら不合格に加えて、結晶人の恥曝しで、クリティアス帝国の笑い者で、<
「アザミが来るか来ないかの試験だよ」
「はぁ? ふざけているなら帰らせてもらう」
「それも試験の内容だろ。来なければ始まりもしないし、深い内容を解けない」
はいはい、ありがとありがと、特に深くもない試験内容でした、めでたしめでたし。とおれは来た道を戻ろうとした時――まさにそこでだ、本当に丁度いいタイミングで、
「お時間です」と、遠くの方でおれとニレンの会話を見守っていたはずの侍女は、いつの間にかニレンのすぐ後ろまで来ていた。ニレンを呼びに来た侍女は
「うん、分かった。けどもう少し、このこどもに言うことがあるから先に戻っていてくれ」
とニレンは侍女に伝える。侍女は頭を下げ、次におれを睨みつけてから踵を返した。
まったく愛想がないパシリ女だ、躾ぐらいしとけ。そうニレンに言いたいところではあるが、おれが最も我慢ならないのはニレンの発言の方だった。
(おれがこどもだと……お前よりはおとなだろ、おれのどこにこどもの要素が組み込まれている。失敗した遺伝子か? それとも失敗した魂か? おれは落ちこぼれだが、全てのこどもが落ちこぼれだと思うなよ。この――感情の落ちこぼれめ)
おれの
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