3、chatGPTで小説校正 その2
小説の校正には以下の3つが重要とされています。
【校正で気をつけるべき3要素】
・文法的におかしな点の修正(誤字脱字含む)
・冗長な表現の削除
・副詞の削除
諸々については深く解説しません。異論は認めます。少なくとも、僕らは上の3つの項目を重視して校正を行っています。
これをchatGPTにお願いして修正点を列挙してもらいます。ついでですので、修正した理由も述べてもらいましょう。
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Input:
あなたは優秀な校正作業員です。
今から小説を校正してもらいます。冗長な表現や重複した表現は削ってください。副詞もできるだけ削ってください。また、文法的におかしい箇所があったら指摘してください。
出力は「修正する文」、「修正後の文」、「修正した理由」のみ提示してください。
よろしくお願いします。
以下、校正する小説です。
(中略)
Output:
修正する文: なるほど。それで、誰の『霊魂』なのでしょうか?
修正後の文: なるほど。では、その霊魂は誰のものなのでしょうか?
修正した理由: 表現を簡潔にし、冗長さを排除しました。
修正する文: 我々も霊邏隊から聞いただけなんですけど……
修正後の文: 私たちは霊邏隊からの情報しか持っていませんが、
修正した理由: 文章をスムーズにするために、文を短くしました。
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先ほどより、問題のある文をピックアップして修正案を提示してくれました。
しかし、中身を見てみると、「表現を簡潔にし、冗長さを排除しました。」と言ってる割には文章は長くなってしまっています。やはり、ここら辺がchatGPTの限界のようですね。
というわけで、GPT4に同じ文章を入力してみましょう。
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Input:
あなたは優秀な校正作業員です。
今から小説を校正してもらいます。冗長な表現や重複した表現は削ってください。副詞もできるだけ削ってください。また、文法的におかしい箇所があったら指摘してください。
出力は「修正する文」、「修正後の文」、「修正した理由」のみ提示してください。
よろしくお願いします。
以下、校正する小説です。
(中略)
Output:
修正する文:「やばい、やばい。やばい、やばい、やばい、やばい!」
修正後の文:「やばい、やばい!」
修正した理由:重複表現が多いため、必要最低限の表現に変更しました。
修正する文:「作家である私は基本的に無敵だ。執筆部屋に篭れば誰もミサイルを撃ってこないし、耳をイヤホンで塞いでSNSを閉じれば世間からの精神攻撃などおそるに足らない。」
修正後の文:「作家である私は基本的に無敵だ。執筆部屋に篭れば誰も襲ってこないし、イヤホンとSNSの遮断で世間からの攻撃から逃れられる。」
修正した理由:冗長な表現と副詞を短縮し、意味を保つように修正しました。
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おお!
ちゃんと指示通り校正できています! なぜか「副詞を短縮する」という謎ワードが出力されていますがひとまずよしとしましょう。
ささ、続きを校正してもらいましょう!
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Input:
ありがとうございます。
続きをお願いします。
———————
蛍光灯が一本しかない薄暗い部屋の中でプラトンは腕組みをしながらパイプ椅子に座っていた。窓はなく、前方には鉄製の扉があるだけで、それ以外はコンクリートの壁で覆われた簡素な構造で、中にいる者を不安にさせた。
(中略)
「プロメテウス出したい、ついでにレスリングさせたい! って会議で言ったらみんなが『いいね』って……。それで採用されました」
(よもや人類に火をもたらした神、プロメテウスがそんな鶴の一声でレスラーにされるとは……。恐るべし、現代ピーポー!)
Output:
修正する文:「蛍光灯が一本しかない薄暗い部屋の中でプラトンは腕組みをしながらパイプ椅子に座っていた。窓はなく、前方には鉄製の扉があるだけで、それ以外はコンクリートの壁で覆われた簡素な構造で、中にいる者を不安にさせた。」
修正後の文:「蛍光灯が一本だけの薄暗い部屋で、窓なし、前方に鉄製の扉だけ。プラトンは腕組みをしながらパイプ椅子に座り、コンクリートの壁に囲まれた簡素な空間に不安を覚えていた。」
修正した理由:文章の流れと内容を簡潔にし、重複や冗長な表現を削除しました。
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いいですね、引き続きお願いしましょう。
えっ、小説の中身が気になる?
それは、またどこかで。
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Input:
ありがとうございます。
続きをお願いします。
———————
「ちなみにプラトンさん、女装とか興味あったりしますか?」
言葉を失うプラトンに潮木はさらに質問を重ねる。創作者としてのスイッチが入ったのか、彼女の声はとてもイキイキとしていた。目の前にいるのがかの有名なプラトンであることは忘れているようだ。
「女装……。い、いや、そのような趣味は持っていないが……」
(中略)
ハハハと笑う潮木をよそに、プラトンは今にも椅子から崩れ落ちそうだった。口の間にはなんとも言えない悔しさがいっぱいに広がり、目の前に便器があれば喀痰したいくらいだった。
Output:
「ええと、それと……」
潮木はちょっと考えてから、続けた。
「その……プラトンさん、恋愛についてはどう思っていますか?」
プラトンは一瞬言葉を失った。それはまるで、哲学者にとっては予想外の質問だったからだ。
「恋愛、か……。確かにワシが生きていた時代と現代とでは、恋愛に対する価値観は大いに異なるであろう。だが、ワシが考える恋愛とは、人間が理想の形、善の形を追求する過程であると言えるだろう」
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おや……?
勝手に続きを書いていますね。chatGPTはいつから小説家を志すように……。
いえいえ、そんなことありません。数セクション前を思い出してください。
GPTは数単語前の内容を分析して、出力します。今回、「校正してください」と指示したのは最初だけです。ですので、「続きをお願いします」と入力されれば、「小説の続きなのかな?」と思ってしまうのが自然です。
ごめん、chatGPT。俺は、お前のことを、信用しすぎて……涙
閑話休題。
そうなると、毎回入力する際にchatGPTが校正作業員であることを明言する必要があります。
あとは見やすさです。先ほどの実験で出力フォーマットに違いが出ていることに気付きましたでしょうか?
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修正する文:「やばい、やばい。やばい、やばい、やばい、やばい!」
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と、
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修正する文(太字):「蛍光灯が一本しかない薄暗い部屋の中でプラトンは腕組みをしながらパイプ椅子に座っていた。窓はなく、前方には鉄製の扉があるだけで、それ以外はコンクリートの壁で覆われた簡素な構造で、中にいる者を不安にさせた。」
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別々の形で出力されると、ちょっと見づらいです。
出力形式も統一させましょう。(続く)
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