3、chatGPTで小説校正
3、chatGPTで小説校正 その1
ここからはchatGPTで小説を校正する方法についてお話ししていきます。
「方法なんていらないだろ。chatGPTに丸投げしたら勝手に校正してくれるんだろ?」
そう考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そうは問屋はおろしません。試しにそのまま突っ込んでみましょう。
今回は、僕らが書いた小説の冒頭を校正してもらいます。
まずは原文を確認してください。
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やばい、やばい。
やばい、やばい、やばい、やばい!
作家である私は基本的に無敵だ。執筆部屋に篭れば誰もミサイルを撃ってこないし、耳をイヤホンで塞いでSNSを閉じれば世間からの精神攻撃などおそるに足らない。
だが、そんな私にも唯一の弱点がある。
それが————
「アビヴァンfcなおいhじゃおあcあ!」
着信音が鳴るだけで文字に表すことのできない言葉が出てしまう。緊急地震速報に似た不協和音の連続。この音で着信が来る人物は一人しかいない。
「…………は、はい」
「騎士団ゲーミングの横屋ですが」
「あ、はい。い、いつもお世話になっております。あの、例のシナリオですが、あと少しといいますか……、ゾーンに入るだけと言いますか……」
「あぁ、今日お電話した件は最新章の締切についてではありません」
「はえっ?」
「実は、先生にお会いしたいと言われている方がいまして……」
普段は「原稿まだかオラァ!」と電話越しに怒鳴ってくる横屋が珍しく困惑した口調をしている。私は何かを察した。
「その会いたい人って、人間ではないようですね……」
ややあって声が聞こえた。
「……その通りです」
「なるほど。それで、誰の『霊魂』なのでしょうか?」
「我々も霊邏隊から聞いただけなんですけど……」
そこで彼は一息おいてから言った。
「プラトン、だそうです」
***
霊魂。
現世に未練を残して死んだ者たちの魂。存在証明の残滓。
彼らは生前の未練を果たすために常世とは違う場所から現世に干渉することができる。
時には霊障として、時には奇跡として。
そんな彼ら霊魂と話すことのできる者がいる。
その者は皆、「霊話証」と呼ばれる身分証を所持しており、人々からは
——「霊話者」と呼ばれている。
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内容は前回お話しした「現代に転生した哲学者プラトンがサブカルチャー文化にギャップを受ける」を題材に僕らが書いたした小説の冒頭です。
これをchatGPTに校正してもらいましょう。
入力する際にはchatGPTの職業を明確にさせました。その方が出力結果が良くなるそうです。
(ここから先は以下の記事を参考にしました。大変参考になりました。ありがとうございました。https://note.com/takahiroanno/n/n4036a09eb15a)
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Input:
あなたは優秀な校正作業員です。今から小説を校正してもらいます。
以下の小説を小説を校正してください。
****
やばい、やばい。
やばい、やばい、やばい、やばい!
作家である私は基本的に無敵だ。執筆部屋に篭れば誰もミサイルを撃ってこないし、耳をイヤホンで塞いでSNSを閉じれば世間からの精神攻撃などおそるに足らない。
(中略)
Output:
以下が、提供いただいた文章の校正版です。
やばい、やばい。
やばい、やばい、やばい、やばい!
作家である私は基本的に無敵だ。執筆部屋に篭れば誰もミサイルを撃ってこないし、耳をイヤホンで塞いでSNSを閉じれば世間からの精神攻撃などおそれるに足らない。
だが、そんな私にも唯一の弱点がある。
それが————
(中略)
====================
……?
校正、されてない?
おかしいな。校正してと頼んだはずなんだけど……。
もう一度、出力してみましょう。
====================
やばい、やばい。
やばい、やばい、やばい、やばい!
作家である私は基本的に無敵だ。執筆部屋に篭れば誰もミサイルを撃ってこないし、耳をイヤホンで塞いでSNSを閉じれば世間からの精神攻撃などおそれるに足らない。
(中略)
====================
同じ……、ですね。おそらく、chatGPTにとって僕らの文章は校正を必要としない文章だったのでしょうか。
いやいや、そんなわけないですね。
試しにchatGPTの上位互換、GPT4に頼んでみましょう。
(GPT4とchatGPTの違いについてはアンデココモモ様から以下の動画を紹介いただきました。ありがとうございます。https://youtu.be/mItOkKzO_KE?si=aOtbXW1uowa3HE-z)
====================
Input:
あなたは優秀な校正作業員です。今から小説を校正してもらいます。
以下の小説を小説を校正してください。
****
やばい、やばい。
やばい、やばい、やばい、やばい!
作家である私は基本的に無敵だ。執筆部屋に篭れば誰もミサイルを撃ってこないし、耳をイヤホンで塞いでSNSを閉じれば世間からの精神攻撃などおそるに足らない。
(中略)
Output:
「ヤバイ」を連続して叫ぶ私。作家である私には無敵の存在感がある。執筆部屋に篭ればミサイルを撃ってこないし、世間からの精神攻撃も避けることができる。しかし、私にも弱点がある。
「アビヴァンfcなおいhじゃおあcあ!」
耐え難い着信音が響き渡る。この音が鳴ると言葉を失う。緊急地震速報のような不協和音の連続。この音の主は一人だけ。
「……はい」
「騎士団ゲーミングの横屋です」
「はい、お世話になってます。例のシナリオですが、もう少しで……」
「今回の電話は締切についてではありません」
「え?」
「実は、あなたにお会いしたい方が……」
普段は怒鳴る横屋が困惑した口調で話す。何かを察した。
「その人、人間ではないですね?」
僅かな間があってから。
「……その通りです」
「なるほど、誰の『霊魂』なのでしょうか?」
「霊邏隊からの情報だけですが……」
彼は一息おいて言った。
「プラトン、だそうです」
====================
変わりましたね。
変わりましたが……、なんというのでしょう。「やばい、やばい。」が「「ヤバイ」を連続して叫ぶ私。」に変わっていて、冒頭の躍動感がなくなってしまっています。
それに、描写のニュアンスもところどころ変わっています。例えば、着信音を聞いて叫んでいるはずなのに「この音が鳴ると言葉を失う。」となっている。
この通り、小説の本文だけを丸投げすると、chatGPTはまともに校正してくれません。彼らはAIですが完璧な存在ではありません。校正という作業が、どのような作業か教える必要があります。
次回は校正作業について細かく指示を出していきます。(続く)
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