2、なぜchatGPTは「小説」が書けないか その4
続いて2つ目「ストーリー」についてです。先ほどは省略したのですが、実はプラトンの設定が途中からおかしくなっていました。
キャラクター設定においてプラントンは
「現代に転生し、サブカルチャー文化に戸惑いながらも、自身の哲学を適用しようとする。」
と説明されています。
しかし、プロットでは、
「プラトンは驚きと戸惑いを感じながら、現代の都市の中で目を覚ます。」
と、彼が戸惑っているのは現代都市の風景に置き換わっています。
しかし中には「プロットを出力していたじゃん」と思う人がいるかもしれません。そうです。「プロットのようなもの」は出力できます。しかし、「登場人物の特性を考慮したプロット」を出力することは難しいです。
これはchatGPTのアルゴリズムに関係があります。
chatGPTの元ネタであるGPT(Generative Pre-trained Transformer)は莫大な学習記録の中から「次に来そうな単語を予測して出力するAI」です。詳細は省きますが、要約するとそういうことです。
僕は一種の「街頭アンケート」だと考えています。
例えば、「Is this a pen? Yes this」に続く単語は何か、というお題で街中でアンケートを取ってみましょう。「pen」と答える人もいれば、「are」などトンチンカンな答えをする人もいるかもしれません。
しかし、多くの人が「is」と答えるでしょう。
では、「is」に続く単語は? 再び街中でアンケートを取ってみると、「pen」と答える人もいれば、「.(ピリオド)」と答える人もいます。半々に別れた場合はくじ引きでどちらかを決めます。「pen」が選ばれた場合は、それに続く単語は何か、と再び街頭アンケートを取って……。
このような形でGPTは入力された文章・出力した文章を基に「次に来る単語は何?」と「街頭アンケート」を実施し、最も選ばれた単語を出力していきます。chatGPTはこの「街頭アンケート」を1000単語レベルで行っているのです(分かりやすさを優先するため、一部内容を改変しております)。
では、「<1000単語以上の文章>に続く単語は何か」で「街頭アンケート」をとるとどうなるのでしょうか。chatGPTは1000単語までしか読むことができませんから、末尾から1000単語まで読んで回答を出力します。つまり、それ以前の単語をほとんど読まずに回答するわけですから、僕ら人間(数億単語を分析できる超スーパーエリートコンピュータ)からしてみれば、出鱈目な結果に見えてしまうのです。
先ほどのプロットも同じです。直前の単語は読んでいる(分析している)ものの、プラトンのプロフィールをうまく読む(分析する)ことができず、プロフィールの内容とは異なる結果を出力してしまいました。
もちろん、物語を書くことにおいては1000単語を分析するだけでは足りません。
長編小説になれば本文だけで数万単語、プロットやキャラクター・世界観設定も含めると数百万単語になります。それらを正確に分析することはとても困難です。
今のchatGPTは3550億個のパラメータがあると言いますが、おそらく数百兆個のパラメータが必要になると思います(とりあえず大きくすればいいだろうという小並的発想)。それこそ、人間の脳をコンピュータで再現するくらいの技術が必要になるでしょう。
僕は将来、AIが「小説」を書ける日が来ると思っています。しかし同時に、そのようなAIは少なくとも10年は現れないだろうと確信もしています。彼らが書けるのは過去の作品を真似たものだけ。
僕らがこれまで生きてきて感じてきた「根源的な感情」から湧き上がる作品を彼らが作ることはできません。もし書きたければAIは五感を身につけなければならない。
でも、そこまで行ったらもう、「新人類」ですよね。
話が脱線したので戻しましょう。
ここまでchatGPTが小説を書けない理由を説明してきました。
しかし、chatGPTを「無能」と吐き捨ててしまうのは勿体無い! 執筆はできなくても校正はできるんじゃないか!?
僕はこう考えたわけです。
と言うわけで、次からはchatGPTを使った校正方法を紹介します。
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