ステータスが全ての世界で最弱ステで生まれた俺は神からスキル『ステータス操作』を授かり最強に成り上がるまで
綴ル
第一章
第1話『無能のロイ』
幼少の頃から俺には才能も何も無かった。
はじめは家族全員、気にしなくてよいと励ましをくれていたのだが。
いっさい無くなった。
というより諦めたのだろう。
俺にはみんなが出来ることができない。
やりたいのにやれない。
力を貸したいのに貸すほどの力がない。
こんな理不尽は生まれてはじめてだった。
今では家族から白い目で見られ、
村のみんなには『無能のロイ』なんて言われる始末。
でも自分がよくわかっている。
無能なのは間違いない。
だって能力がないのだから無能と呼ばれるのは当たり前のことだ。
それでも俺は自分を信じて日々を過ごしている。
「なぁ、この岩持ち上げてみろよ『ロイ』。
持ち上げられるんならな!(笑)」
「よし!俺とかけっこしようぜ!なんならケンケンだっていいぞ!まあ、追いつけるのかって話だけど!(笑)」
「ウソだろ?5歳のガキですら使える初級の風魔法すら使えないのかよ!?才能ないぜオマエ(笑)」
「おいおい、いくら勉強したって使えないなら無駄知恵だろ?意味がないことやるとかさすがは『無能』だな!(笑)」
今日も俺は村の連中にいびられていた。
力も速さも知恵を使うための能力も、憧れていた魔法ですら、俺にはこれっぽっちも使えないし役に立たなかった。
俺の名は、ロイセーレン・グランヨルデ。
一応、異世界からの転生者だ。
転生前は、宗像久那斗(むなかた くなと)という日本に住んでいた一般人。
当時は事故に巻き込まれて死んだと思っていたところ、目が覚めたらこの世界に赤子として生まれた。
まあ前世のことなんて今更どうしようもないしならないので、帰りたいとかそんな矮小な気持ちはない。
俺も昔は異世界チートなんて夢物語を抱いていた時期があった。
だが、現実は違う。魔法という概念が存在するこの世界は元々住んでいた知識、主に科学がまったく役に立たない。
火の起こしかた一つとっても、
水を生成するの一つとっても。
世界が異なるばかりに法則や、現象が全く合致せずに頭を悩ませられたものだ…。
おっと、話がされた。
今の俺はグランヨルデ家というアーリア村を収める村長の三男。
他に兄弟姉妹が合わせて七人。
あ、今年生まれる子を含めれば八人か。
俺は上から五番目…。
まあ、そんなことはいいんだ。
この家は地位こそ低いけれど、
能力だけは一流。それも剣と魔法はピカイチ。
もちろん。そんな家系に生まれたのなら俺にだって一つくらい優れたところがあるだろうと浮かれていた。
でも、時間が経つたびにひしひしと感じる家族と自分の差。
この差を縮めるため。
俺は考えうることを試して試して試して試して試して試して・・・。
それでも何も変わらなかった。
落胆や自暴自棄は何度も起こして、命を絶とうとも考えた。
けど、たった一人の友人が手を差し伸べてくれたことで俺は今日も生きている。
もう数えるのすらやめてしまった、自分の能力がいつか目覚めた時のための訓練。
これだけは欠かさなかった。
剣術から体術。魔法の基本から応用の知識。
体の扱い方から道具を使った戦闘や、もし冒険者になった時のためのソロやパーティーの立ち回りや編成など。
ありとあらゆる可能性の中で自分が役に立てる場所はないか模索し続けた。
俺は間違いなく足手まといになる人間。
ならできるやつに任せて、的確な指示を出す指揮官のようなポジションにつくことが目標だった。
しかしそういう役割のやつは総じて能力が高く非凡な才能がある。
ええい!クヨクヨしても何も変わらない!
今日も訓練あるのみだ!
村を少し離れたとこらにある湖で、剣術の訓練を始める。
イメージして振り抜く、敵を想定した立ち周り。
手に持っているのは剣と同じ長さの木の枝。
俺には筋力がまったくないので、これでもやっとなのだ。
全身が汗だくになるが構わず続ける。
数分で体力もなくなり地べたに転がる。
(なんでこの程度しかできないんだ!!!)
自分の不甲斐なさを叱責しても身体は変わってはくれない。
でもやり続けていればいつか…変わる日が来ると信じている。
いや、信じないといけない。
毎度のことだが、前世の時の方が何倍もマシだったと感じる。
それでも生まれてきた以上、一生付き合っていかないといけない身体だ。
自分のことは自分がよく理解しておかないとな。
よし。さてと、次は罠を想定した動きをしてみるか・・・。
その時だった。
湖の水が突然空に舞い上がり、
一帯の木々が粉々となって飛ばされていく。
「な、なんだよ!?これ!!!」
まずい!身を持っていかれる!
どこかにつかまらないと!
全身が宙に浮き、間一髪で木の枝を掴む。
が、力の無いこの身体に自重を支えられるような握力はあるはずもないため…。
「うおおおおおおお!!!!!!!!」
なす術もなく、俺は空に放り出されてしまった。
空中では身体の自由なんて効くわけがないので、身体中に粉々になった木々や砂利、石ころがぶつかったり、刺さったりして、涙が出るほどかなり痛い!
それに大気中には魔素と呼ばれる魔力の素が漂っていて普段は霧散しているから害はないのだが。
ある時、魔素が濃くなることで自然を揺るがす大規模な災害を起こすことがある。
今回はそれにピタリと当てはまる。
魔力をほぼ感知できない俺がわかるくらいの量だ。
この突発的な自然現象には名前がある。
魔力災害だ。
俺は魔力災害に呑まれて意識を失った。
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