第3章 ギャハハ、お前らも俺と同じ所まで堕ちてきやがれ!
3-1
「じゃあ本当にパパの娘なんだ!」
「ワタシも他にも子供がいたなんて驚いてるわ」
互いの自己紹介が終わり、スカーレットとヴィオレはすぐに打ち解けた。
境遇が似ていることもあり、話もはずむ。
「どうしてパパなんかがそんなにもてるんだろ? 性格はゲスだし、女の子のアタシにやられるほど弱いのに!」
「他のパーティーの人は、皆から尊敬されている凄い人ばかりでしょ。パパはそれを利用して、目につく女を手当たり次第に口説いたんだと思うわ」
「なるほど。今も昔の仲間の人たちの名前を勝手に使って詐欺してるしね。でも口説かれてもパパがどんな男かなんて、ちょっと話せば分かると思うけど」
「ワタシたちのママにそれが分かったと思う?」
「そっか! 性格と頭の悪い女だけが、パパに引っかかたんだね」
「てめえら! いい加減にしやがれ!」
コウスケは激怒した。
だが、話しに夢中な二人は、止まらない。。
「でも待って。パパは女なら誰でも見境が無いから、アタシたちの事も……」
「確かに……子供だろうが、実の娘だろうが、パパには関係ないに違いないわ」
「ううん、むしろそっちの方が、興奮して最高とか思ってるに決まってるよ!」
「変な方向に妄想ふくらませてんじゃねえ!」
「近寄らないでロリコン! アタシたちをレイプしようしてるでしょ!」
「近親相姦がしたいからワタシ達を引きとるなんて、どこまで腐ってるの?」
スカーレットが木剣を構える。
ヴィオレもスティックを突き出した。
「俺は20代後半から30代前半の、乳のでけえ女が好きなんだ! てめえらなんぞ眼中にねえ! くだらねえこと言ってる暇があったら寝ろ!」
◇
「ナランハ。エルフ地区の人たちと人間の領民たちの暴動が衝突して、惨事になってるみたいで……」
紅輔は妻に深々と頭をさげた。
今日は領内初の、義務教育学校の完成記念式典。
領に来てからずっと苦労をしてきたが、その成果の1つがようやく実った。。
そんな日に起こった種族同士の衝突。まだまだこの領には課題が多いことを、強く実感させられる。
(そんなんほっとけ)
「気にしないで。式典には先に行ってるから」
妻は不満一つ言わずに、優しく微笑みかけてくれた。
新しい命が宿ったお腹は、すっかり大きくなっている。
出産予定はもうすぐだ。
そんな身体なのに、いつも妻は自分に協力してくれた。
(身ごもってんのに、そんなとこ行くんじゃねえ!)
「本当にゴメン」
「どうして謝るの? 私は紅輔のそんなところが好きで一緒になったのに」
(男を見る目がねえぞ)
「でも、このお腹じゃ……」
「なに言ってんの。この子もパパのそういうところがみたいに決まってるじゃない」
(…………)
「そっか。頑張らないとな。じゃあ、行ってくる。早く皆を説得してできるだけ急いで式典に参加するよ!」
妻には、いっぱい負担をかけてきた。
これが終わったらゆっくりと2人、いや3人で静養できる時間を作ろう。
そう決意して、その場を後にした。
「俺も、もうすぐ父親か」
走りながらポツリとつぶやいた。
実感はまだわかない。
だが、嬉しかった。
そして、この子が大きくなった未来のために、頑張ろうと、より強く決意した。
(行くんじゃねえ!)
◇
「……夢か」
窓からはわずかに、明かりが差してきている。
夢のせいで気分が悪い。
ここで、やけに身体が重たいことに気づいた。
「むにゃむにゃ……」
「zzz」
口喧嘩のあと別々に寝たはずのスカーレットとヴィオレが、ギュッと抱きついて眠っていた。
2人とも幸せな寝顔を浮かべている。
「ロリコンだの、娘に手出そうしてるだの、散々言っときやがって」
2人を見て、先ほどみた夢が頭をよぎる。
(……生きてりゃ、こいつらより少し年上か)
「ハハ……パパのロリコン、変態、ペド野郎、最悪」
「ふふ……そんなに近親相姦がしたいの。パパ最低ね」
「どんな夢、見てんだよ」
コウスケは再び目を閉じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます