終幕 前半
静かなる夜の底で、ダンテは一人佇む。
「大丈夫そうで何よりです。グラフィさん」
ダンテの視線の先には、先ほどの戦闘で吹き飛ばされたはずのグラフィの姿があった。彼女の腕には、気を失った
その時、ダンテの
ダンテの性格を誰よりも理解しているグラフィだからこそ、彼が
さらに、氷魔法に
レイニーに止めを刺さなかったことで、グラフィの推測は確信へと変わった。だからこそ、攻撃で吹き飛ばされた後も、
「つ……」
グラフィは不意に顔をしかめる。彼女の目線は、自分の腹筋に向かった。そこには青く
村で襲った敵は仲間割れのことも予知していたのか。敵が未来を予知できるなら薊の暗殺をしくじった理由はなにか。そんな疑問が彼女の顔を
それでも、グラフィはあの大戦争を生き抜いた
だが、ダンテにとって不安の
グラフィは
「なぜ俺たちを試した」
「僻地の村々を転々としてきたから
「
ダンテの反応を見て、それが冗談ではないことを知るとグラフィは
「いいやそんなはずはない。俺は確かにこの目で見たんだ。たとえ不死身であってもあいつは明らかに死んでいた。魔王の死を、俺が見間違えるはずねぇ!」
「魔王復活の予言と転移者の召喚が重なるのを偶然の一言では片づけられないっす。それも神の眼を持つ者達の予言とあれば、その予言は外れない。絶対に」
彼の発言にある『神の眼を持つ者』とは、ダンテと同じく転移者の血を濃く受け
「転移者を召喚したのも仕組まれていたのか! まさかあいつらを戦争の道具に……」
彼らを囲む
魔族領土に
「……だったら?」
謎の
「……
「だとしたらなぜ偶然がこんなにも重なる。俺たちがたまたま転移者の召喚された近くにいたのも偶然か?」
「半分は正解で半分は不正解っすね」
ダンテは人を
「お前の話しはいつも回りくどい。
するとダンテは人差し指をぴんと上に立てた。
「これからの話しは全部
「お前が俺たちを襲った理由ってのは……」
「その敵……、それが神の眼を持つ者であるならば、やつは必ず転移者に再び接触する。そのための
「だからって!」
「だから? なに? まさか、何百何千万の人の
グラフィは
「……お前の言い分は分かった」
しかし、これまで大人しかった彼女の雰囲気は二呼吸目にはすっかりと変わりきって、荒々しく言い放った。
「アザミは俺の
それからのグラフィは、いまだに納得のいかない点は多々あるが、
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