第3話 事件

「護衛っていっても何すればいいんだ?」

「就寝時だけ交代で見張ってくれればよい」

「それだけでいいのかしら?」

「ああ、よいぞ」

「そろそろ夕食が出来るそうです」

礼儀正しい男性はそう言った。

「もうそんな時間か。では皆行くぞ」




「うめぇな!」

「もっと感想ないの?」

「芳醇な香りがーえっと…」

それを見て皆が笑った





「美味かったな!」

「あのプリンもう一度食べたいですわ!」

「事件解明するまでだからもう一度出るかもしれませんねー!」

「ここが皆様の部屋でございます」

丁寧に男性が言った。

「ちゃんと1部屋ずつあるね!」

「旅では1部屋ずつ無い事もありましたから嬉しいわ」

「王様が就寝する時間になりましたら呼びに来ます」

「はーい!」

と勇者一行は言った。




数時間後ライが娯楽小説を読んでいると

「コンコンコン」と扉を叩く音が聞こえた。

足早に駆け寄り、扉を開けて見るとエリックと仲間たちが居た。

「もう王様がそろそろ就寝するので警備をお願い致します」

「りょーかい」

と気だるげに勇者は言った。




「俺たちの部屋の隣なんだな」

「そうですねー!ところで交代で警備するんですよねー?誰からしますー?」

「んーじゃんけんで決めるか」

「分かったわ」「はい!」「はいー」

と皆ライの意見に同意した。

「最初はグーじゃんけんボン!」

結果ライ、ナタリー、ゲイル、アリスの順になった。

「ラッキー1番」

「私最後ですの?少し面倒くさいですわね」

と盛り上がっていると扉が開いた。

「皆、すまないが少し静かにしてくれぬか?」

「あっごめんなさい…」

「すまんすまん」

「申し訳ございません」

「すみませんー」

「わかってくれたなら良い。明日朝早くての。」

「よし!王様!護衛は任せてしっかり寝ろ!」

「すまないな。では頼むぞ!」

勇者ライは王様の部屋の前に待機し、他の仲間はカードを取り出し扉を開けた。




「あー眠い」

と独り言を言い、勇者は大きな欠伸をした。

すると、1人の兵士が現れた。

「お疲れ様」

話し相手が欲しくてライは声をかけた。

しかし、兵士は無表情で近づいてくるばかりだ。

(ん?なんだコイツ寝ぼけているのか?)

「なあおっさん?無言で近づかないでくれない?」

すると男は剣を構えて走ってきた。

「うおっ!?」

勇者は咄嗟に盾で守った。

「マオウサマノカタキ…」

と男は不気味な声で呟いた。

(アンデット…?)

勇者は冷静に剣に魔力を込めて動く死体に斬りかかった。

「ズバッ!」

勇者の斬撃は音を立てアンデットの腕を切り落とした。

その瞬間兵士は逃亡を始めた。

「おい待て!」




勇者は全力で追いかけたが、身体の負荷を気にせずに動くそれを見失ってしまった。

「くそっ」

(王は無事か?仲間を起こすべきだったな…)

そう考えて王の部屋に戻ると扉が開いていた。

「王!?」

勇者の不安は的中し、王の部屋鉄のような香りが漂ってきた。

そして、中を恐る恐る覗くと王は剣で切り

つけられた無惨な姿で倒れていた。

「…」

(考えていても仕方ないな。ナタリーを読んで治療してもらおう。)

勇者は急いで扉をカードで開け、プリーストの彼女を叩き起した。

「ん?どうしたの?」

「王様が殺された。早く治療してくれ!」

「えっ!?嘘でしょ!?」

と慌てて言った。

しかし、彼女は直ぐに頭を冷やした。

「私は王様を治療するからライは皆を起こしてください!」

「了解」

そして皆を起こし、これまでの事を説明した。

そして、王の部屋に向かった。

「ごめん俺がアンデットを追いかけたから…」「謝るなら蘇生した後、本人に謝ってくださいー」

「まあ死んだ直後だし蘇生出来るわよね?」

「そうだな」

ライは後悔しても仕方がないと思い、切り替えた。

「あれっ?」

治療している彼女は焦りを露わにしてそう言った。

「魂がもう無い…」

「どういうことかしら?」

(どういう事だ?本来魂は1日程度死体の近くにあるはずなのに。それになぜ扉が開いているんだ?まさか…)

「この扉を開けれるのって王様と俺たち以外に居たっけ?」

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